2022年04月20日、日本国財務省が令和3年度(2020年03月~2021年04月)の「貿易統計(速報値)」を公開。
これに韓国メディアがまるで鬼の首でも取ったかのように、「貿易が大赤字で経常収支も赤字に転落するぞ」という記事を出しています。
日本の貿易赤字の現状を見てみましょう
まず、財務省が公開したデータをご覧ください。以下です。
令和3年度の「輸出 – 輸入」は「5兆3,749億円」の赤字です。
対前年比で輸出は「23.6%」伸びましたが、輸入が「33.3%」増加したため赤字幅が大きく拡大しました。
「日本は巨額の貿易赤字」と書くが……
次に韓国メディア『韓国経済』の書きようを見てみましょう。記事から一部を以下に引用します。
日本財務省は2021年度(2020年4月~2021年3月)貿易収支が5兆3,748億円(約51兆6,115億ウォン)の赤字で集計されたと20日発表した。
2014年度6兆6,389億円の貿易赤字以後7年ぶりの大規模赤字だ。
貿易収支にサービス収支(旅行及び特許使用料)を合わせた貿易・サービス収支では2019年度-1兆3,548億円以降2年ぶりの赤字だ。
(中略)
2021年度の輸出は85兆8,785億円、輸入は91兆2,534億円で、輸出入ともに史上最大値を記録した。
輸出が81兆円を超えたのは2007年度以降14年ぶり、輸入は2014年度以降7年ぶりだ。製造大企業の輸出が低価格に支えられて増えたが、国際原材料価格が急騰したため輸入がはるかに増えた。
(中略)
一方、2022年は1980年以来42年ぶりに年間経常収支が赤字を示すという展望が出ている。
(後略)
とまあ、日本が大規模な貿易赤字に陥っており、経常収支も42年ぶりに年間で赤字に転落するのではないかと書いているわけです。
恐らく記者自身も気付いているとは思いますが、韓国は日本のことをあげつらっている場合ではありません。
韓国は貿易赤字になるとスグに経常収支が赤字化する!
世界的な資源価格の急騰により、輸入金額が増加し貿易収支が減少しているのは韓国も同じで、Money1で何度もご紹介しているとおり、韓国の貿易収支は減少、赤転の傾向を見せているのです。
しかも、韓国の場合は、貿易だけで食べている国なので、貿易収支の減少、赤転は、経常収支の赤字化に直結します。
日本はそうではありません。なぜなら、これまで海外に投資してきた資産からのアガリが巨額に日本に入ってくるからです。その証拠に、令和3年(度でないことに注意してください)の国際収支統計を見てみると、以下のようになっています。
貿易収支:-2兆5,615億円
サービス収支:-4兆2,316億円
第一次所得収支:20兆4,781億円
第二次所得収支:-2兆4,289億円
経常収支(上記4つの合計):15兆4,877億円
⇒参照・引用元:『日本国 財務省』公式サイト「日本の国際収支統計」
上掲のとおり、海外からの配当収入を計上する「第一次所得収支」が「貿易収支」「サービス収支」「第二次所得収支」の赤字を消して余りある巨額黒字なのです。
韓国の2021年は以下です。
2021年韓国
貿易収支:762億720万ドル
サービス収支:-31億830万ドル
第一次所得収支:193億2,820万ドル
第二次所得収支:-41億2,490万ドル
経常収支(上記4つの合計):883億220万ドル⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト
経常収支の「86.3%」が貿易収支なのです。これが減少、赤転したらどうなるでしょうか? 赤字になれば、すぐに経常収支は赤字に転落します。
実際、韓国は、通関ベースではすでに月次で貿易収支は赤字を記録するようになっているのです。日本の貿易収支が巨額赤字だなどとあげつらっている状況でしょうか。
 
 
日本の2014年の貿易赤字について書いていますので、そのときのデータも見てみましょう。
2014年、日本は「-13兆4,998億円」の貿易赤字を出しました(貿易収支とサービス収支を足した数字です)。
では経常収支は赤字になったでしょうか?
「NO」です。
経常収支は「3兆9,215億円」の黒字でした。
ですので、韓国は危うくなってきた自分の心配をするべきです。自身の足元に火がついているのですから。
(吉田ハンチング@dcp)