2024年08月12日、中国浙江省杭州市で、テイクアウト商品を配達するドライバーと公安がにらみ合うという事態が発生しました。
テイクアウト商品を配達するドライバーというのは、中国では「外卖骑手(外売騎手)」と書きますが、簡単にいえば『Uber Eats』的な仕事をする配達員さんのことです。
中国では景気が最低ですから、多くの人が失職しています。また、再就職は用意なことではありません。
そのため住宅ローンや子供を抱えて、配達員の仕事に就く人が増加しているのです。しかし、そもそも景気はどん底ですから、臨時で配達員のアルバイトを始めたとしても過当競争で、デリバリーを頼む人が現象してるので、それで食べていくのも難しいのです。
そのような背景で事件が起こりました。
杭州市の西溪世紀中心の敷地内で配達中に柵を歪めてしまい、保安(警備員)に咎められました。
この悶着で、配達員は警備員から跪いて謝れといわれ――配達を急がなければならなかったので――仕方なく土下座することになりました。
しかし、この情報がネットに広がるや、同じドライバーの皆さんが集まり、警備員に対する抗議活動を行う事態に発展。
こうなると中国公安の出番です。公安(警官)は抗議活動を行う人を鎮圧するべく出動し、にらみ合いとなったのです。
↑YouTube「今日華夏」チャンネルの動画。
武装警察部隊が鎮圧に投入されました。
以下が杭州市公安局西湖区分局が出した報告です。
2024年08月12日午後、ある外卖平台(デリバリープラットフォーム)の男性デリバリーライダー王某某(ワン某某)が、西溪世紀中心の敷地内で配達中に柵を歪めてしまい、敷地内の保安に制止された。
このデリバリーライダーは、他の注文の配達が遅れることを心配してその場で土下座をし、その後、現場に人々が集まる事態となった。
管轄の派出所が通報を受けた後、直ちに警察が現場に出動し、関係者に対する法的調査を行い、今後、調査結果に基づいて処理される予定である。
炎熱の夏、警察は市民に冷静を保つよう呼びかけ、互いに理解し合い、包容し合い、温かい都市づくりを目指すよう求めてる。
また、ネット上でのデマの流布、デマを信じること、デマを広めることを控えるよう呼びかけている。クリーンで健全なインターネット環境を共に作っていこう。
杭州市公安局西湖区分局
2024年08月12日
この事件は、中国当局が「人々が集まって抗議活動を行うこと」をどれだけ恐れているかを示す例という解釈もできます。
中国政府は、特に公共の場での抗議活動が社会的な不安を引き起こすことを非常に警戒しており、そのために迅速に対応する傾向があります。
今回のように、労働者が集まって声を上げることが、たとえその原因が正当なものであっても、政府にとっては制御すべき潜在的な脅威と見なされることが多いです。それは、中国共産党による統治が脅かされることだからです。
このディストピアは中国共産党が人々によって潰されるまで続くでしょう。ただし、中国の皆さんの怒りはそろそろ限界に達しているように見えます。
(吉田ハンチング@dcp)