アメリカ合衆国で第2次トランプ政権が始まり、関税攻勢によって「韓国の産業が壊滅的な打撃を受けるのではないか」との懸念が浮上しています。
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この予測は(このまま進めば)間違ってはいません。
上掲記事でご紹介したとおり、鉄鋼、加えて自動車と半導体が打撃を受けると主力輸出品目のボリュームゾーンが沈没します。
ただ、トランプ政権は「対米貿易黒字が大きい国」(および安全保障を脅かす中国)をターゲットとしていますので、韓国が標的になるのは無理がないのです。
Money1でもご紹介してきたとおり、韓国は対中国貿易が赤字に転落し、「その埋め合わせ」として対米貿易黒字を伸長させました。これによって何が起こったかというと「対米依存の深化」です。
例えば、自動車産業は合衆国での売上が減少すれば全体が傾くほどになっています(北米依存が50%を超えるのでメキシコ・カナダへの迂回出も封じられると輸出の半分が影響を受ける)。
韓国が対米貿易でどのくらいの黒字を出しているかというと――以下をご覧ください。
※2020年が166億ドルと減少しているのはコロナ禍のため/データ出典:『韓国貿易協会』。
2024年は「約557億ドル」も黒字を出しています。
↑黄色のマーカーのセルが2024年01~12月の貿易収支のデータ。合計すると約1,000億ドルになります。
乱暴な比較になりますが――国際収支統計上の2024年の貿易収支(輸出 – 輸入)は「1,001億2,690万ドル」でほぼ1,000億ドルで――対米貿易黒字557億ドルというのは、その55.7%に当たるのです。
韓国は貿易収支が十分な黒字でないとすぐに国が傾くのですが、合衆国による関税攻撃は、貿易収支の55.7%に影響を与えるものなのです。
貿易一本槍でここまできた韓国に対する「とどめの一撃(あるいはクリティカルヒット)」になるかもしれない――のはこのような理由によります。
(吉田ハンチング@dcp)