読者の皆さまは「昨天」という中国語サイトをご存じでしょうか。

中国で起こる民衆の抗議活動・事件を記録するサイトです。
「昨天」は自身について以下のように説明しています。
中国では毎年、多数の集団抗議活動が発生しています。
しかし、中国共産党の「伝統的メディアの報道禁止とソーシャルメディアの拡散禁止」という戦略により、これらの出来事のほとんどは国民の目に触れることなく、長きにわたり、政府が提唱する一種の「正しい集団記憶」、すなわちいわゆる「平和で繁栄した時代」が形成されてきました。
2012年に中国社会科学院が発表した『社会青書』は、社会紛争に起因する集団抗議活動が毎年数万件、あるいは数十万件にも及ぶ可能性があると明らかにしました。
しかし、この報告書には具体的な出来事は詳細に記載されておらず、その後も同様の公表はありません。
中国では毎年約10万件の集団抗議活動が発生していると推定され、その半数以上がソーシャルメディア上で公開されていると考えられます。
しかし、中国共産党によるソーシャルメディアへの厳格な検閲により、そのほとんどは削除または制限されています。
そのため、ほとんどの集団抗議活動は外部に知られることなく終わっています。
これらの出来事がいつ起こったのか、その要求は何だったのか、その規模はどれほどだったのか、そしてどのような結果になったのかは、通常、不明です。
そのため、これらの情報を毎日収集、記録し、発信することは、非常に重要な取り組みとなっています。
これは、中国共産党が「繁栄と平和の時代」と称して捏造した虚偽を暴き、真の歴史を保存するだけでなく、人々に闘争の持続性と規模の大きさを知らせ、闘争への参加への恐怖心を軽減することにもつながります。
「YESTERDAY」は、中国における集団抗議活動の記録と発信に特化したプロジェクトです。
⇒参照・引用元:『昨天』公式サイト
中国では、中国共産党に都合の悪い抗議活動や民衆の反抗は、SNSでも情報公開が制限され「なかったこと」にされてしまいます。
これこそが言論弾圧であり、国民を無知蒙昧な状況に置こうとする態度です。「本当のこと」を恐れるのは後ろ暗いことをしている者だからです。
このサイトの投稿動画を見ると、もう毎日のように中国の皆さんが当局(あるいは企業など)に対する抗議活動が起こしていることが分かります。
推計ながら1年間で10万件なら、1日当たり「約274件」の抗議活動が起こっていることになるのです。
直近の『昨天』の投稿を挙げるだけでも――、
●2025年6月20日
南鄭州:河南の村鎮銀行の預金者が再び抗議行動を起こす。●06月20日
貴州省貴陽市:大学院受験対策の予備校の講師と受講生たちが、理工大学の管理会社が契約を守らなかったとして抗議行動を行った。●06月20日~23日
福建省福清市:祥興カバン有限公司の100人以上の縫製作業員の女性たちが引き続きストライキを実施、市政府前で未払い賃金の支払いを求めた。●06月21日~22日
山東省滕州市官橋鎮洪林村:村民たちが2日間にわたり道路を封鎖し、地元政府が村の近くに火葬場を建設しようとしていることに抗議した。●06月22日
河北省邯鄲市武安市:娄里水庫の建設業者が100人以上の暴力団風の用心棒を雇い、武安市邑城鎮南峭河村の土地を強制的に接収。抗議した村民たちは殴打された。●06月23日午前
河南省周口市中心病院:すでに供用不能な救急車を用いて新生児を搬送し、その結果、新生児が保育器内で窒息死するという事件が発生。遺族が病院前で真相の説明を求めて抗議した。ネットユーザーの中には、「周口中心病院ではこういう事件は初めてではない」と指摘する声もあった。●06月23日
河南省鄭州市新鄭市:未完成マンション「康橋那雲渓」四期の購入者たちが、建物の屋上に横断幕を掲げて「家を引き渡せ」と要求した。●06月23日
四川省富順県:学校の食堂で腐った肉と悪臭のする骨付き豚あばら肉が出され、数百人の保護者が学校に押しかけ、地元政府庁舎を取り囲んだ。●06月24日午前
四川富順華英小学校の腐敗豚肉事件 続報(上記:引用者注)現在、保護者たちはすでに県政府庁舎前の道路を封鎖している。
富順県の合同調査チームは状況報告を発表し、「検査に出された豚肉の『揮発性塩基性窒素指標(食品の鮮度を評価する指標)』の2回の検査結果は、いずれも国家の規定基準を超えていなかった」と述べた。
――と暗澹たる気持ちになる動画・記述が並んでいます。
中国共産党の支配する社会は、もう何も怖くないという「無敵の人」が多数出るような、社会不安が醸成される場所となっているのです。
日本人はこのような国に渡航すべきではありません。
(吉田ハンチング@dcp)






