タイムリーにご紹介しそこなったのですが、2026年02月02日、韓国慶尚北道盈徳に設置された風力発電用のタワー支柱がひしゃげるように折れ曲がり、崩れ落ちました。

高さ80m、発電用ブレードの長さが40mもある代物で、ブレードが落下した場所は道路上。
通行していたクルマに直撃していた可能性もあるわけで、被害にあったクルマがなく、死傷者ゼロで済んだのは不幸中の幸いという他ありません。
問題は、1カ月以上たつのに事故原因がまったく分からないことです。
事故当時の風速は秒速6.4メートルであることが分かっており、日本の気象庁の分類によれば「10m/s以上 15m/s未満」で「やや強い風」という定義ですから、秒速6.4m程度の風で支柱がひん曲がったりしていたら、「とても発電なんかできない」という話なのです。
この原因不明の事故について『朝鮮日報』が面白い記事を出しています。以下に同記事から一部を引用します。
(前略)
当時、乗用車に覆いかぶさる寸前の瞬間、某運転者は危うい事故現場を抜け出した後、胸をなで下ろした。
先月02日午後4時40分ごろ、慶尚北道盈徳の海岸公園の丘で起きた出来事だ。
当時の風は秒速6.4メートル。台風級でもない通常の水準だった。
28日、電気安全公社と盈徳風力発電などの合同調査結果によると、事故発生から1カ月半が過ぎても、タワー構造物(柱)崩壊事故の直接的な原因は明確に明らかになっていない。
アラームセンサー故障の状況と、事故当時に発電機が感知した周辺風速が秒速6.4メートルであった点以外に、明確な事故原因となる手掛かりはないという。
盈徳の風力発電機崩壊事故は、発生直後から迷宮の中をさまよっている。
事故原因を究明する核心手掛かりである「デジタルブラックボックス」を国内で直接分析する技術がないためだ。
運営会社側によると、事故発電機はブレード(羽)が先に破損した後、バランスを失って崩壊したものと推定される。当時の風速は発電機の正常稼働範囲(秒速3~20メートル)内の安定した水準だった。
問題は、なぜ羽が壊れたのかという点だ。
風力発電機メーカーであるデンマークのベスタス(Vestas)の技術陣は、先月13日、盈徳の事故現場で「SCADA(遠隔監視制御)」データを確保し、分析に着手した。電気安全公社と運営会社の要請により、事故発生から12日後のことである。
航空機のブラックボックスに相当するSCADAは、収集されたデータを暗号化して保存する装置である。
(後略)
事故原因を特定するためのブラックボックスを調査する技術がないので、デンマーク企業『Vestas』に依頼するしかない――というのです。

↑デンマーク企業『Vestas』の公式サイト/スクリーンキャプチャー。『Vestas』は非常に有名な世界最大クラスの風力発電機メーカーです。
しかも多くの場合、事故調査の結果は公表されない――のです。
同記事は以下のように書いています。
(前略)
事故調査は大半がメーカー主導で行われ、結果は「営業秘密」という理由で公開されない場合が多い。政府関係者でさえ「和順事故の調査はメーカー自ら進め、その結果は彼らだけが知っていると聞いている」と述べた。
(後略)
なぜこんなことになったのか原因も分からず、本件もクローズされるかもしれません。日本ではこのようなことがないように、もって他山の石とすべきです。
(吉田ハンチング@dcp)






