「おい、誰か来てくれー」というのは、こういう時に使う言葉ではないでしょうか。
韓国で新しい加速器が建設されています。
KBSI(韓国基礎科学支援研究院)によると、新しく建設しているのは「韓国セビッ加速器(KLS=Korea Light Source)」で、場所は忠清北道清州市・梧倉です。

↑着工した「韓国セビッ加速器」の完成予想CGです。
事業期間は2021年07月~2029年12月、総事業費は1兆1,643億ウォン。2026年07月27日に起工式が行われ、本格的な建設段階に入りました。
ちなみに「セビッ」というのは、
새 = 新しい
빛 = 光
――ですから「新しい光」という意味になります。
現在、浦項にはすでに大きく二系統の放射光施設があります。

↑慶尚北道浦項市POSTECHキャンパスにある浦項放射光加速器(円形施設)と「X線自由電子レーザー」の施設。
POSTECH浦項加速器研究所の公式情報では、
PLS-II:3世代の円形・蓄積リング型放射光加速器。3.0GeVで現在も運用中
PAL-XFEL:第4世代のX線自由電子レーザー(XFEL)。10GeV。2016年完成、2017年から利用者実験を開始
――となっています。
今回の韓国セビッ加速器も「第4世代」とされていますが、浦項のPAL-XFELとは方式が違います。
新設される韓国セビッ加速器は、KBSIが公式に「第4世代円形放射光加速器」と説明している施設。電子を周長約800mの蓄積リング内で周回させ、リング周囲に設けた複数のビームラインに放射光を供給する方式です。
電子エネルギーは4GeV、リング周長は約800m、初期段階で10本のビームラインを設け、最終的には40本まで拡張する計画です。KBSIは明るさについて、浦項の第3世代加速器(PLS-II)の約100倍としています。
この新しい加速器について、『朝鮮日報』が面白い記事を出していますので、同記事から一部を以下に引きます。
(前略)
「加速器はノーベル賞製造機」今月18日、慶尚北道浦項市のPOSTECHキャンパスにある浦項加速器を訪れた。
厚さ1メートルのコンクリート壁の内側にある円形トンネルには、銀色の配管や各種装置が、周囲281メートルに沿って果てしなく続いていた。
この中では、光に近い速度まで加速された電子が1秒間に100万回以上周回しながら、太陽光の100億倍明るい放射光を生み出す。
すぐ隣には、ロッテワールドタワー2棟を横倒しにした長さに相当する1.1キロメートルの直線型「X線自由電子レーザー」施設がある。浦項加速器よりも短く強力な光源によって、物質の構造と動きを捉える研究設備だ。
この二つの施設を訪れる韓国内外の研究者は、年間8,000人を超える。新薬、半導体、太陽電池、次世代バッテリーなど、さまざまな先端研究がここで行われている。
浦項加速器の始まりは1980年代にさかのぼる。
当時、浦項製鉄会長だった朴泰俊(パク・テジュン)が、浦項工科大学の初代学長である金浩吉(キム・ホギル)に大学を任せたいと申し出たところ、金学長は「放射光加速器を造ってほしい」と条件を出した。
それは何だと尋ねる朴会長に、金学長は「ノーベル賞製造機」と答えたという。
ノーベル賞級の研究をするためには、必ず必要となる施設だという意味だった。
当時、1,500億ウォンを投じて加速器を建設することには強い反発もあった。
放射光加速器を保有する国そのものが指折り数えるほどしかなく、関連技術も不足していた時代だった。着工から1年余りで、予算不足によって事業が事実上ストップしたこともあった。
設計経験がなかったため、当初は合衆国の技術支援に依存したが、それすら途中で打ち切られた。
浦項加速器研究所の金宰英(キム・ジェヨン)所長は、「合衆国で確保できなかった技術は中国で探し、入手できない装置は自分たちで造りながら、最終的に完成させた」と話した。
そうして一つずつ積み上げられた経験が、30年後、セビッ加速器の設計・製作技術へとつながった。
(後略)
「ノーベル賞製造機」の新しいのが2029年に竣工するそうです。
(吉田ハンチング@dcp)





