「お金がないのは首もないと同じ」とはよくいったもので、特に会社は運転資金たるキャッシュが尽きたらそこでおしまいです。
韓国経済の危機的状況にあって、社債は発行、保有する資産を売却、IPO(新規株式上場)をかけて……など韓国企業の「現金確保」の努力は現在も続いています。
現金がなかったら「ヘタ打った会社」を買われへんやろが
2020年06月10日、『中央日報』に「【独占】チェ・テウォン特命『現金を集めろ』SK系列会社総動員5兆確保」という記事が出ました。
記事では韓国SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長がグループ会社に総動員をかけて金策に走った結果を紹介しています。
先にMoney1でもご紹介したことがありますが、崔会長は新型コロナウイルス騒動が深刻な事態に進む前に「現金確保ーっ!」と大号令を発しました。
同記事にも以下のように紹介されています。
(前略)
最も顕著なのはSKグループである。チェ・テウォンSK会長は最近、(グループ内の:筆者注)会社の代表に「現金を用意することができる全てのリソースを動員せよ」と指示した。チェ会長は続いて「コロナの後に適当な案件が出ても現金がなければ対応できない」と強調したという。
(後略)
ここで崔会長が「案件」(物件)といっているのは「会社の売り物」のことです。
つまり、新型コロナウイルス騒動で経営が立ちゆかなくなった会社を積極的に購入する意思があり、いい売り物があったら買う、そのための現金が要るというわけです。
自分のグループが困らないようにもあるのでしょうが、崔会長はこの新型コロナウイルス騒動を利用して「経営が傾いたいい会社」を買収しようとしているのです。
同記事から、崔会長の早い動き出しの成果を引用すると以下のようになります。
SKハイニクス:社債発行で「1兆600億ウォン」確保
SKエネルギー:社債発行で「5,500億ウォン」確保
SKルブリカンツ:社債発行で「3,000億ウォン」確保
SK E&S:株式売却で「1兆8,000億ウォン」確保
以下は作戦遂行中の案件です。
SKC:持株を売却して「1,000-2,000億ウォン」確保見込み
SKバイオファーム:IPOで「7,000-9,000億ウォン確保見込み
SKイノベーション:子会社SKアイをIPO予定/金額不明
SKグループは02月以降だけで5兆ウォン以上の現金を確保したとのこと。現在遂行中の案件もあるので、SKグループはさらに多くの現金を積み上げるでしょう(四半期決算の段階で現金性資産は「11兆5,657億ウォン」)。
不景気で先行きが不透明なときには「なにより現金」ではありますが、崔会長の狙いが「『ヘタ打った会社』を買うんや!」だとは、誠に凄まじい商魂ではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)