2020年07月14日、韓国の文在寅大統領は満を持して「韓国版ニューディール」の全貌を明らかにしました。
もともとは、韓国に新しい基幹産業をつくり、55万以上の雇用を生み出すという「5年間で100兆ウォン + α規模」の計画でした。しかし、大統領自らのお披露目によれば、100兆で済まなくなりました。
政府が投じる資金は「114兆1,000億ウォン」(約10兆1,549億円)。※1
地方自治体と民間企業も巻き込まれて合弁事業などを行うため、「160兆ウォン」(約14兆2,400億円)規模の壮大なプロジェクトになるとのことです。
以下は、明らかになった「韓国政府の資金がどのように投入されるか」です。
「韓国版ニューディール」政府の資金投入予定
●デジタルニューディール
⇒データ・ネットワーク・AI:31兆9,000億ウォン
⇒非対面産業の育成:2兆1,000億ウォン
⇒SOC(社会共通資本)のデジタル化:10兆ウォン
など
小計:44兆8,000億ウォン●グリーンニューディール
⇒環境に配慮した経済のための緑のインフラ:12兆1,000億ウォン
⇒再生可能エネルギー:24兆3,000億ウォン
⇒グリーン産業育成:6兆3,000億ウォン
など
小計:42兆7,000ウォン●社会セーフティーネットの強化
雇用保険の拡充、デジタル・グリーン人材育成などの就業教育
など
小計:26兆6,000億ウォン2025年までの投入資金
総額:114兆1,000億ウォン
またしても「財源については知らん」的な姿勢
政府の出す「114.1兆ウォン」を、地方自治体と民間企業が「45兆9,000億ウォン」を供出して「160兆ウォン」まで膨らませる予定です。
何度だっていいますが、問題は財源です。
壮大な構想ですが、どこにそんなお金があるのか?と誰もが聞きたいはずです。
しかし、文大統領のいつもの例によって、財源については何の説明もありません。「100兆ウォン」から「114.1兆ウォン」に増えましたが、増加分は全部「政府の借金」になるでしょう。つまり、国民が税金を払って返すわけです。
「大韓民国を大転換する!」という宣言
この件を報じた韓国メディア『毎日経済』の記事に、文在寅大統領の意気込みを感じさせる言葉が掲載されているので、以下に引用します。
文大統領は
「韓国版ニューディールは、
追撃型経済ではなく先導型経済であり、
炭素依存経済から低炭素経済へ、
不平等社会でから許容する社会へ、
大韓民国を根本的に変えるという政府の意志であり、
大韓民国大転換の宣言」と述べた。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「韓国版ニューディール2025年までに114兆の投資…文『大韓民国を大転換させる』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
ほとんど聞かない言葉ですが、追撃型経済というのは、恐らく韓国が大好きな「(先行者を)キャッチアップする」ことで発展する経済という意味でしょうか。
これまでのそうした「まねっこ」「キャッチアップ」ではなく、韓国が世界を先導していくような経済でありたい、という情熱の発露のようです。
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
まるで宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のようです。詩的です。
というわけで、「韓国版ニューディール」がベールを脱いだわけですが――「かぶったままの方が良かった」「脱がなくてもいいのに……」と思った人は少なくないかもしれません。
「亡国への大転換」にならなければいいですね。
※1ウォン円換算には2020年07月14日の「1ウォン=0.089円」を用いました
(吉田ハンチング@dcp)