韓国ソウル市が「9年ぶりに水道料金を値上げする」として、韓国メディアでも注目されています。
韓国では社会的インフラに支払う料金が安い、なんていわれることがあります。例えば「鉄道料金が安い」「電気代が安い」「水道代が安い」などですが、これらは韓国政府(地方政府含む)が赤字を補填する構造になっているからです。
例えば、鉄道は『韓国鉄道公社』がありますし、電気については『韓国電力公社』、水道は(当たり前ですが)地方政府の水道局が管理していますので、できるだけ安価に市民に社会インフラを提供しており、それ自身は褒められることかもしれませんが、赤字体質なのは否めません。これが一般企業なら存続不可能です。
今回、ソウル市が水道料金見直しを打ち出したのは、施設・設備の更新を求められる一方で累積赤字が看過できないレベルまで来たからです。どのくらい赤字かというと「5年間の累積赤字が1,614億ウォン」というひどいものです。
見直しのきっかけは、日本でも報じられた「水道水に虫が混入した」という件ですね。また、2019年には「水道から赤い水が出た」という事件も起こっています。
市民の苦情も大きく、これ以上施設・設備の更新を放置できない ⇒ そのためにはお金が要る ⇒ 値上げだ!というわけです。
本件を報じた韓国メディア『毎日経済』から以下に引用します。
ソウル市の関係者は07日、「ソウル市上水道事業本部が発足当時4,300人だった人員を2,000人未満に減らし、事業所も11個から8個に減らすなどのコストを削減するために努力してきたが、累積赤字はもはや耐えられないレベルになった」
としながら、「昨年起こった「赤い水道水が出た事件」が示す老朽化した水道管の改善事業にも少なからず予算がかかるので、コロナ19危機にもかかわらず上昇が避けられない」と述べた。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「水道管古く累積赤字1,600億…9年ぶりに値上げ」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
で、どのくらい値上げするかというと「2023年までに段階的に61%値上げする」予定です。
「1.61倍」というと、かなりの値上げに感じますが、実はこれでも「原価割れ」なのです。
『毎日経済』は以下のように書いています。
(前略)
ソウル市は水道料金を引き上げて、料金現実化率(生産コスト比販売単価)を現行の80.05%から2023年93.8%まで上げる計画だ。
(後略)
つまり、「1.61倍にしてもコストの93.8%しか反映していない」ので赤字なのです。
「100%反映する」というわけにはいかないのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)