韓国の公社はその多くで財務状況が大変によろしくありません。
「お金がないのでニッケル鉱山を売らなければならないが日本に売るのは悔しい」などと詮なきことを述べていた『鉱物資源公社』については以前ご紹介しました。
この『鉱物資源公社』はもう二進も三進もいかないところまで追い詰められています。まず以下の同公社の貸借対照表(要約版)をご覧ください。
⇒参照・引用元:『韓国鉱物資源公社』公式サイト「要約貸借対照表(K-IFRS)」
2020年通期の決算はまだ出ていませんが、2020年上半期の段階で驚愕の結果です。
まず赤枠で囲った①です。負債が「6兆6,516億7,200万ウォン」(約6,318億900万円)もあります。
赤枠の②。資本量が「-3兆3,650億7,700万ウォン」(約-3,196億8,200万ウォン)という信じられない数字が記載されています。恐るべき債務超過です。
赤枠の③の負債比率※ですが、2016年下半期に債務超過に陥ったため、2016年上半期までしか計算できていませんが、この時点で「10,453.92%」というこれまた信じられないような数字です。
2016年上半期時点で負債が自己資本の約105倍もあり、この後も負債はどんどん増えて上記の「6兆6,516億7,200万ウォン」に達しました。
通常であればとてもではありませんが存続できるような会社ではありません。そこで、韓国政府は一計を案じました。
2021年02月26日、この『鉱物資源公社』と『鉱害管理公団』を統合する法律「韓国鉱業公団法案」が韓国国会を通過しました。
つまり、大赤字で存続できない『鉱物資源公社』と別の公社を合併させて糊塗しようというわけです。
『鉱害管理公団』の貸借対照表も見てみましょう(2020年の結果が出ていないため2019年決算のデータです)。
⇒参照・引用元:『鉱害管理公団』公式サイト「要約貸借対照表(K-IFRS)」
赤枠で囲んだ④ですが、負債は「3,883億6,200万ウォン」(約368億9,400万円)。
⑤の資本量は「1兆2,945億4,500万ウォン」(約1,229億8,200万円)。
負債が非常に少なく、⑥の負債比率はわずか「30%」で済んでいます。非常に良好な財務状況です。
ただし、この2つが合併して新たにできる『鉱害鉱業公団』は「負債:約7兆ウォン」「資本量:約-2兆ウォン」というやはり債務超過な会社になるのです。
韓国政府にお金がないので『鉱物資源公社』を支えるお金を入れることができず、そのためまだ健全な公社と統合してしまおうというわけです。もちろん根本的な解決にはなりません。
※負債比率は「負債/自己資本」で求めます(100を掛けてパーセント表記にする)。負債が自己資本の何倍あるのかを示します。
(吉田ハンチング@dcp)