今に始まった話ではないのですが、韓国メディア『毎日経済』で「韓国のLCC(格安航空会社)大手4社でキャッシュが2020年より厳しく危ない」という記事を出していますので乗っかってみます。
同紙の記事が着目しているのは「負債比率」です。
何度も紹介していますが、負債比率というのは「自己資本に対する負債の割合」を示しており、これが100%でしたら「負債が自己資本と同じだけある」ことになります。あまりに負債率が大きい場合には「この企業は大丈夫なのか?」となります。
株式を上場している韓国のLCC4社の負債比率は以下のようになっています。
『済州(チェジュ)航空』:430%(前年:353%)
『ティーウェイ航空』:517.6%(前年:331.2%)
『ジンエアー』:467%(前年:267%)
『エア釜山』:838.17%(前年:811.83%)
どの企業も負債比率が拡大しているのがお分かりいただけるでしょう。『済州航空』が「430%」(負債が自己資本の4.3倍ある)で一番ましそうに見えますが、ところがどっこい他のLCCより金額が多いのです。
負債:9,383億ウォン
その上、2019年には「3,220億ウォン」あった自己資本が「2,184億ウォン」へと激減しています。
また、1年以内に返済しなければならない短期借入金が「1,656億ウォン」あり、航空機のリース代金の支払い(これも1年以内に支払う)が「1,276億ウォン」あるのです。その上、先にご紹介したとおり『済州航空』は債務超過寸前です。
他のLCC3社も似たりよったりでどこが飛んでもおかしくありません。
さらに、前年と違って韓国政府にいよいよお金がない上に、金融機関の支払い猶予措置などが終わります。これが『毎日経済』が「もしかして今年の方が危ないのでは?」と書く理由の一つでもあります。
面白いのは、韓国LCC最大手の『済州航空』ですらこんな状態なのに、何を考えてのことか今からLCC業界に参入しようという物好きな企業があるのです。
韓国の航空業界のドタバタは終わったわけではないのです。
(吉田ハンチング@dcp)