【全文和訳】中国「反外国制裁法」とは? 「反中国」の組織・個人には何でもできる法律。日本人は中国から脱出すべき!

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2021年06月10日、中国の第13回全国人民代表大会の常務委員会第29回会合で「反外国制裁法」が採択されました。

これは中国へ圧迫を加える法、具体的にはアメリカ合衆国が上院で可決した「イノベーションおよび競争法」(US Innovation and Competition Act of 2021)へのお返しです。

反中国のものには何をしてもいいという恐るべき法律

結論からいえば、これはわずか16条しかない、実に中国らしい非常に大ざっぱな法律です。

言葉の定義のセクションもありません。Tit for tat戦略に基づいて編まれたもので、反中国の態度を取るものに対して「なんでもできる」ように書かれています。

この法律では中国の主権を害したり、中国に内政干渉を行ったりした組織、個人を「対抗措置リスト」に入れ、必要な措置を取ることができるとしています。

例えば、第6条には、中国に内政干渉を行ったり封じ込めを画策したりした組織や個人に対して、国務院は複数の措置を取ることができるとして、「ビザの発給拒否」「動産・不動産の差し押さえ」などを挙げています。

しかし、最後の項には「その他必要な措置」と書いています。つまり「なんでもできる」のです。

しかも、どの組織、個人を「対抗措置リスト」に入れるのかについては全く恣意的であり、どんな組織・個人でもお構いなしです。

国務院関連部署が決めるとしか書いていないからです(第3条および第4条)。

さらに、第11条の規定によれば、その対抗措置リストに入ったもの(組織・個人)に対する措置は中国の全組織と全個人が行わなければならないとしています。

ですから、国務院がブラックリスト入りを指定した組織・個人は、中国の全組織、全中国人からどんな目に遭わされるのか分かったものではありません

「なんでもできる=何をしてもいい」のですから。

合衆国の「イノベーションと競争法」はまだ法案(bill)ですが、この「反外国制裁法」は公布すぐ施行と書かれています。もう法律は有効なのです。

日本人は早く中国から脱出すべきではないでしょうか。何をされるか分かりません。

「反外国制裁法」全文と和訳

以下が全文と和訳です。

中华人民共和国反外国制裁法
(2021年6月10日第十三届全国人民代表大会常务委员会第二十九次会议通过)
中華人民共和国反外国制裁法
(2021年06月10日 第13期全国人民代表大会常務委員会第29回会議通達)

第一条
为了维护国家主权、安全、发展利益,保护我国公民、组织的合法权益,根据宪法,制定本法。

本法は、国家の主権、安全および発展の利益を保護し、国民および団体の正当な権利および利益を保護するために、憲法に基づいて制定する。

第二条
中华人民共和国坚持独立自主的和平外交政策,坚持互相尊重主权和领土完整、互不侵犯、互不干涉内政、平等互利、和平共处的五项原则,维护以联合国为核心的国际体系和以国际法为基础的国际秩序,发展同世界各国的友好合作,推动构建人类命运共同体。

第2条
中華人民共和国は、自主的かつ平和的な外交政策、主権と領土保全の相互尊重、不侵略、相互の内政不干渉、平等と互恵、平和的共存の5原則を堅持し、国際連合を中核とする国際システムと国際法に基づく国際秩序を堅持し、世界の全ての国との友好協力を発展させ、人類運命共同体の構築を推進する。

第三条
中华人民共和国反对霸权主义和强权政治,反对任何国家以任何借口、任何方式干涉中国内政。

第3条
中華人民共和国は、覇権主義とパワーポリティクスに反対し、いかなる国によるいかなる口実、いかなる手段による中国の内政への干渉にも反対する。

外国国家违反国际法和国际关系基本准则,以各种借口或者依据其本国法律对我国进行遏制、打压,对我国公民、组织采取歧视性限制措施,干涉我国内政的,我国有权采取相应反制措施。

外国が国際法および国際関係の基本的な規範に違反し、中国を封じ込めたり抑圧したりするためにさまざまな言い訳を用いたり自国の法律に頼ったり、その市民や組織に対して差別的・制限的な措置を講じたり、内政に干渉したりした場合、中国はそれに対応する対抗措置を講じる権利を有する。

第四条
国务院有关部门可以决定将直接或者间接参与制定、决定、实施本法第三条规定的歧视性限制措施的个人、组织列入反制清单。

第4条
国務院の関連部門は、本法第3条に規定する差別的制限措置の策定、決定または実施に直接または間接的に関与している個人および組織を対抗措置リストに含めることを決定できる。

第五条
除根据本法第四条规定列入反制清单的个人、组织以外,国务院有关部门还可以决定对下列个人、组织采取反制措施:

(一)列入反制清单个人的配偶和直系亲属;
(二)列入反制清单组织的高级管理人员或者实际控制人;
(三)由列入反制清单个人担任高级管理人员的组织;
(四)由列入反制清单个人和组织实际控制或者参与设立、运营的组织。

第5条
国務院の関連部門は、本法第4条の規定により対抗措置リストに含まれる個人および組織に加えて、以下の個人および組織に対しても対抗措置を講じることを決定できる。

(一)対策リストに含まれる個人の配偶者および近親者
(二)対策リストに掲載されている組織の上級管理職または実効支配している者
(三)カウンターリストに含まれる個人が上級管理職に就いている組織
(四)対策リストに含まれる個人・団体が実際に支配している、または設立・運営に参加している組織

第六条
国务院有关部门可以按照各自职责和任务分工,对本法第四条、第五条规定的个人、组织,根据实际情况决定采取下列一种或者几种措施:

(一)不予签发签证、不准入境、注销签证或者驱逐出境;
(二)查封、扣押、冻结在我国境内的动产、不动产和其他各类财产;
(三)禁止或者限制我国境内的组织、个人与其进行有关交易、合作等活动;
(四)其他必要措施。

第6条
国務院の関連部門は、それぞれの責任と任務分担に基づき、本法第4条および第5条に規定されている個人および組織について、実際の状況に応じて、以下の1つまたは複数の措置を取ることを決定できる。

(一)ビザの発給拒否、入国拒否、ビザの取り消し、国外追放
(二)わが国の動産・不動財産およびその他の種類の財産を差し押さえ、留置し、または凍結すること
(三)わが国の組織または個人が、彼らとの関連する取引、協力およびその他の活動を行うことを禁止、または制限する
(四)その他必要な措置

第七条
国务院有关部门依据本法第四条至第六条规定作出的决定为最终决定。

第7条
この法律の第4条から第6条までの規定に基づいて国務院の関連部門が下した決定は最終的なものとする。

第八条
采取反制措施所依据的情形发生变化的,国务院有关部门可以暂停、变更或者取消有关反制措施。

第8条
対抗措置の根拠となる状況が変化した場合、国務院の関連部門は、当該対抗措置を中断、変更または中止できる。

第九条
反制清单和反制措施的确定、暂停、变更或者取消,由外交部或者国务院其他有关部门发布命令予以公布。

第9条
対抗措置・対策リストの決定、停止、変更または取り消しは、外交部または国務院の他の関連部門が発する命令によって公布される。

第十条
国家设立反外国制裁工作协调机制,负责统筹协调相关工作。

第10条
国は、外国人制裁対策業務の調整機構を設置し、関連業務の調整に責任を負うものとする。

国务院有关部门应当加强协同配合和信息共享,按照各自职责和任务分工确定和实施有关反制措施。

国務院の関連部門は、調整と情報共有を強化し、それぞれの責任と任務分担に基づいて、関連する対策を決定し実施する。

第十一条
我国境内的组织和个人应当执行国务院有关部门采取的反制措施

第11条
中国国内の組織および個人は、国務院の関連部門が採択した対抗措置を実施しなければならない。

对违反前款规定的组织和个人,国务院有关部门依法予以处理,限制或者禁止其从事相关活动。

前項の規定に違反した組織および個人については、国務院の関連部門が法律に基づいて対処し、関連する活動に従事することを制限または禁止しなければならない。

第十二条
任何组织和个人均不得执行或者协助执行外国国家对我国公民、组织采取的歧视性限制措施。

第12条
いかなる組織または個人も、外国が中国の市民および組織に対して行った差別的な制限的措置を実施し、またはその実施を支援してはならない。

组织和个人违反前款规定,侵害我国公民、组织合法权益的,我国公民、组织可以依法向人民法院提起诉讼,要求其停止侵害、赔偿损失。

組織および個人が前項の規定に違反し、中国の市民および組織の合法的な権利および利益を侵害した場合、中国の市民および組織は、法律に基づき、侵害の停止および損害賠償を求めて人民法院に訴訟を提起することができる。

第十三条
对于危害我国主权、安全、发展利益的行为,除本法规定外,有关法律、行政法规、部门规章可以规定采取其他必要的反制措施。

第13条
中国の主権、安全、発展の利益を危うくする行為については、関連する法律、行政規則、部門規則で、この法律の規定の他に、その他の必要な対抗措置を定めることができる。

第十四条
任何组织和个人不执行、不配合实施反制措施的,依法追究法律责任。

第14条
対策の実施または実施への協力を怠った組織または個人は、法律に基づいて法的責任を問われる。

第十五条
对于外国国家、组织或者个人实施、协助、支持危害我国主权、安全、发展利益的行为,需要采取必要反制措施的,参照本法有关规定执行。

第15条
外国の国家、組織または個人が、わが国の主権、安全または発展の利益を危うくする行為を行い、これを援助しまたは支援し、必要な対抗措置を講じる必要がある場合には、本法の関連規定を参照するものとする。

第十六条
本法自公布之日起施行

第16条
この法律は、その公布日から施行する

⇒参照・引用元:『全国人民代表大会』公式サイト「中华人民共和国反外国制裁法」

(吉田ハンチング@dcp)

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