韓国政府与党『共に民主党』の統一大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)さんは、独自の財政論をお持ちの方です。
韓国メディアは「MMTっぽい」――と評しています(笑)。李候補の主張を確認してみましょう。
「国債の現金化を行えばいいのだ」という主張
京畿道知事だった際に、李候補は文在寅政権のばらまき政策に注文をつけたことがあります。
そのときの主張は「独自通貨を持つ国は、自国通貨建てで国債を発行している限りにおいて、破綻することはない」でした。この理屈を持って「もっと国民にお金を配れ」と述べました。
また、2020年09月には「利率0%の永久債(国債)を発行し、これを『韓国銀行』が引き受ければいい」という、Facebook上で建国大学チェ・ペグン教授の考えを「増える一方の悪性家計負債を減らして経済を生かす一つの方法」とのタイトルで紹介したことがあります。
永久債というのは、発行体が存続する限り永久に利子をもらい続けることができるという債券で、ただし償還はありません(元本は返ってこない)。
つまり、李知事の推奨する方法というのは――韓国政府が永久債を発行して『韓国銀行』がそれを引き受ければいい。政府が『韓国銀行』から受け取ったお金を国民に配れば、家計負債の増加を止められる。それどころか家計負債を減らせる――です。
また、目論んでいる債券の利率は0%なので、韓国政府が『韓国銀行』に支払う利払いはゼロです。
まさに国債のマネタイゼーションをそのままやるわけです。
興味深いのでぜひ実験してみましょう
経済学の理論というのは実験ができない点に難がありますが、日本の斜め上には、このように、大統領になったら「すぐ実践」に踏み切りそうなすごい政治家がいらっしゃいます。
今回ご紹介した持論も、大統領になったらぜひ実現していただきたいものです。非常に興味深い実験になるでしょう。うまくいったら他国はまねすればいいですし、失敗したら「間違ってましたね」と同じ轍を踏まなければいいのです。
李候補に期待する理由が一つ増えたのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)