韓国の自動車産業が弱体化を続けているという件は何度もご紹介しておりますが、『朝鮮日報』に興味深い記事記事が出ています。
同紙の記事は、「中国市場から韓国メーカーの自動車が駆逐されるだけではなくて、中国産の電気自動車が入ってきて韓国内の市場でも負けるのではないか」という懸念を示しています。
以下に記事の一部を引用します。
(前略)
まず『現代・起亜自動車』の中国での状況。『現代・起亜自動車』は2016年に中国で180万台を売ったが、昨年は54万台を売るにとどまった。
わずか5年の間にほぼ4分1に減少した。
これ以上は退けないと回復に全ての努力を注いだが、昨年の販売は前年比30%ほど減った(中国市場全体は前年より4%成長したにもかかわらずである)。
ところが、この危機が本当に深刻なのは、韓国自動車産業が中国という世界最大市場で敗退するだけにとどまるのではなく、近いうちに中国に韓国市場さえ圧倒され得るからだ。
非常に冷静で的を射た指摘です。
というのは、中国の自動車産業は国内需要を満たすのみならず、海外への輸出でも実績を積んでいるのです。にわかには信じがたい数字ですが、2021年の中国の自動車輸出は202万台。2020年の約2倍です。
ただし全てが純中国企業の製品ではありません。例えば、この202万台のうち電気自動車は約31万台ですが、その約半分(16万台)は『Tesla(テスラ)』の中国ギガファクトリーで製造されて輸出されたものです。
しかし、中国自動車企業が輸出にも注力しだしたのは確かです。
以前、約48万円の電気自動車をご紹介したことがありますが、中国の電気自動車はとにかく安価です。中国ドメスティックな企業の安価な電気自動車が本格的に輸出され始めたらどうなるのか、韓国市場も席巻されるのではないか――というわけです。
まずいことに、韓国は中国共産党の恫喝に屈してしまう国ですから、安全基準などを盾にして中国産電気自動車の輸入を阻むことができるのかも怪しいところです。
これまで韓国の自動車企業は中国を自分たちにとって美味しい市場とだけ見てきました。それで大丈夫でした。ところが、中国は今やライバルとして台頭しつつあるのです。
日米欧の自動車企業と違ってブランド力に劣る韓国自動車企業は、価格を前面に押し立てて勝負を挑んでくる中国自動車企業に勝ち抜くことができるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)