韓国『双竜自動車』の買収が結局頓挫した件の余波、というか自業自得みたいな話です。
先にご紹介したとおり、『双竜自動車』の優先買収先になった『エジソン・モータース』は買収金額の残金「2,743億ウォン」を期限(2022年03月25日)までに納付せず、その結果『双竜自動車』は『エジソン・モータース』との買収契約を破棄すると宣言。
03月29日、ソウル回生裁判所(破綻案件ばかり扱う地方裁判所)は、『エジソン・モータース』の再生計画書の排除を決定。また、04月01日に予定されていた関係者集会も取り消されました。
これによって、『エジソン・モータース』による『双竜自動車』の買収、再生は消滅しました。
この裏で、『エジソン・モータース』の子会社である『エジソンEV』社の株価が暴落して、投資家が阿鼻叫喚の地獄絵図となっています。
もちろん『エジソン・モータース』の『双竜自動車』買収失敗もあるのですが、事の本質は同社が監査法人の意見拒絶に遭って、上場廃止の危機に瀕したためです。
企業の存続に疑義あり!
そもそも『エジソンEV』の決算書が原因です。
同社は4事業年度連続赤字で管理指定銘柄入り寸前だったのですが、外部監査法人が意見表明を拒絶したとしいう監査報告書が出たのです。
これを受けて、韓国取引所KOSADQ市場本部は「これはダメだ!」と、投資家保護のため29日に同社株式の取引を停止。
外部監査法人によると、「流動負債が流動資産を超過しており、当期中に営業損失7,700万ウォン、当期純損失8億1,400万ウォンが発生した」とし、「こうした事件や状況は、「企業の継続性、企業体としての存続能力について有意な疑問が提起するほど重要な不確実性が存在する」とのこと。
また、「会社の売上増大などによる財務改善と流動性確保計画に対する十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった」とも。つまり、会社が継続できるかどうも危ないし、監査も合理的に行えないといっています。
というような顛末があったのを踏まえて、以下の『エジソンEV』のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:以下同/日足)。
『エジソンEV』の株価はひどく下落しています。取引停止措置を食らった29日は陽線になっていますが、ここまで下がったのだからと底を拾いにいった投資家がいたものと思われます。
日足のまま時間軸を長く取ると以下のようになります。
親会社の『エジソン・モータース』が『双竜自動車』を買収するぞ!となって期待感が盛り上がり、『エジソンEV』の株価は急騰しました。
ローソク足の実体線で最も高かったのは、2021年11月12日の始値「8万2,400ウォン」。2022年03月29日の終値が「1万1,600ウォン」ですから、最高値から最安値まで「85.9%」も下落しています。
時価総額「2兆463億ウォン」が蒸発したことになります。
2022年03月29日、『エジソンEV』は以下のような公示を出しました。
↑GoogleChromeの自動翻訳なので一部ヘンな日本語がありますがご寛恕ください。⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
2022年04月11日までに、「企業の存続性についての疑義・意見拒否」の事由が解消された、とする確認書が同一監査法人からとれない限り、上場廃止になる――と述べています。
というわけで、投資家は阿鼻叫喚の地獄絵図となっております。
(吉田ハンチング@dcp)