韓国の文在寅政権が最後の最後になって、面倒くさい案件を尹錫悦（ユン・ソギョル）新政権に押しつけようとしています。
加徳島に新国際空港を造るという件です。
知らない方は「なにそれ」と思われるかもしれませんが、これがまたロクでもない話ですのでどうか一席お付き合いのほどを。
釜山市長選挙に勝つために持ち出して……惨敗！
↑PHOTO(C)GoogleMap
この加徳島というのは上掲の場所にあります（釜山）。もともと新国際空港の計画はあったのですが、2011年および2016年に否定されました。「経済性がない上に空港を造るのに適さない」と判断されたためです。
ところが、2021年02月になって、にわかに加徳島に新国際空港を造ろうという計画が再び脚光を浴びます。理由は、釜山市長選挙に勝つためです。
04月07日に行われるソウル市長選挙、釜山市長選挙で政府与党『共に民主党』候補を勝たせるために、急きょばらまきを保証する案件として浮上したのです。
呆れることに、『共に民主党』は2021年02月26日に「加徳島新空港建設のための特別法」を通過させました。これは問答無用で加徳島に国際空港を造るというものです。
この法律が通ったのは、文大統領の指示があったからです。先に触れたとおり加徳島に空港を造るプランは否定されていたのです。そのことはみんな知っているので、国土交通部の長官も全く前向きではありませんでした。ところが、文大統領は同長官を叱責。そのため国土交通部も前向きにならざるを得ませんでした。
つまり、文大統領が造れと言ったも同然なのです。その理由は『共に民主党』候補を勝たせるためという、全くもって政治的な動機からきたものです。
――で、2021年04月07日のソウル市長選挙、釜山市長選挙はどうなったか？
傑作なことにどちらも『共に民主党』候補は惨敗しました（以下が結果）。
『国民の力』呉世勲候補：57.50％
『共に民主党』朴映宣（パク・ヨンソン）候補：39.18％
『国民の力』朴亨埈候補：62.67％
『共に民主党』金栄春（キム・ヨンチュン）候補：34.42％
なんとも皮肉な結果になったわけですが、「加徳島新空港建設のための特別法」は通過させてしまった後でした。
ここから時間は現在に飛びます。
文大統領は満面の笑みですが……
2022年04月26日、韓国の青瓦台・大統領府はプレスリリースを出しました。
文在寅大統領は26日(火)「東南圏地域住民たちの宿願だった加徳島も新空港建設が事前妥当性調査を終え、今日国務会議で推進計画を議決。予備妥当性調査を免除できるようになり、非常に前向きに考えられる」と述べました。
続いて文大統領は「釜山・蔚山・慶南地域民の切実な熱望に国家均衡発展のための政府の努力が加わったため可能なことであり、国会も与野党を問わず特別法制定などで積極的に協力してくれた」と評価しました。
（後略）
「予備妥当性調査を免除できる」などと述べていますが、前記のとおり「経済性もなければ空港を造るのにも適さない」という結論が以前に出ているのです。
全く国際空港に向かない場所であるし経済性もない！
まず、当地は軟弱地盤です。
上掲のような格好いいCG画像が出ていますが、海も埋め立てて滑走路を東西に造る予定です。
これが大問題で、この加徳島は海に向かって突出した地形であり、天気が崩れると強風が吹き、波も荒くなります。また霧も発生しやすいのです。
昼は南風、夜には北風が吹きます。つまり、パイロットは機体に常時横風を受けながら離着陸することになるのです。
さらに、そもそも釜山が朝鮮半島南端の港町ですから、韓国の中心部から離れており、こんなところに国際空港を造ってもアクセスが非常に悪いのです。
海外からのお客さんとしても、こんなところで降ろされても、首都ソウルにアクセスするのにさらに飛行機を乗り継ぐか（約1時間）、電車（KTXで2時間30分～3時間）を使わなくてはならず、不便なこと極まりありません。
このように世にもあほらしい計画なのですが、文大統領は自身が推進した（というかゴリ押しした）無茶苦茶な計画をこのまま尹錫悦（ユン・ソギョル）政権に引き継がせようとしています。
――というわけですから、韓国はこのロクでもない計画をひっくり返した方がいいのです。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
