2022年06月10日、アメリカ合衆国財務省は「Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States」を公表しました。
このリポートは、合衆国の貿易相手国のマクロ経済および通貨政策について財務省が報告するもの。この中では、貿易を有利にするために為替操作を行っているのはないかと監視する「観察対象国」についての記載があります。
合衆国から為替操作国と認定されると、貿易においてその国に不利益な措置が取られます。そのため、認定手前の為替操作の監視対象国とされるだけでも対象国からすればイヤなものなのです。
(合衆国との貿易で大幅な黒字)
②GDP比3%以上の経常収支黒字
(またはGDP比1%以上の現在の経常収支と長期的経常収支の間の乖離)
③1年のうち8カ月対GDP比で2%以上の外国為替を買収する市場介入
(持続的で一方的な為替介入)
という条件のうち2つを満たすと観察対象国になります。
今回公表されたリポートの中では、韓国も観察対象国に入っています。もちろん今に始まったことではなく、引き続きであって、リストから外れませんでした――という話です。
今回のリポートでの観察対象国は、
日本
韓国
ドイツ
イタリア
インド
マレーシア
シンガポール
タイ
台湾
ベトナム
メキシコ
の12の国と地域です。毎度おなじみのメンバーが並んだという感じですが、今回のリポートでは中国について傑作な記述があります。
以下に引用してみます。
The Report also emphasizes that China’s failure to publish foreign exchange intervention data and broader lack of transparency around key features of its exchange rate mechanism make it an outlier among major economies, and Treasury will closely monitor the foreign exchange activities of its state-owned banks.
また、同報告書は、中国が為替介入データを公表しておらず、為替相場メカニズムの主要な特徴に関する透明性を広く欠いているため、主要国の中でも異例な存在となっており、財務省は中国の国有銀行の為替活動を注意深く監視していくことを強調している。
中国は「為替介入のデータ」を公開しておらず、透明性がないので「なんやよう分からん」と言っています。
「中央銀行の動きを注視していく」と強調はしているのですが、合衆国財務省に「主要国の中でも異例な存在」といわしめる中国は、やはりラスボスにふさわしいモンスターだといえるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)