2022年08月26日、韓国の産業通商資源部が「エジプトの原発プロジェクトを受注した」というプレスリリースを出しました。
以下をご覧ください。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。3兆ウォン規模エジプト・エルダバ原発建設プロジェクト受注
①2009年UAE原発以来13年ぶりに大規模原発プロジェクトを受注
②原発機材および施工業者への資材供給など原発生態系の復元に大きく貢献
③エルダバプロジェクトを契機に原発輸出戦略推進委員会を中心に輸出モメンタムを強化
④今年9月、国内原発企業の参加促進のための事業説明会開催
エジプトが初の原発建設を行っているのは以下の場所です。
実は、このプロジェクトはすでに進行しています。発注元として仕事を請け負ったのは、ロシア国営の原子力総合企業『ロスアトム』(正確には子会社の『ASE』)です。
同社はエジプト政府の「原子力発電庁」(NPPA)から2019年03月に原発4基分(120万kWのロシア型PWR:VVER-1200×4基)のサイト建設許可を受け、2022年07月20日に本格着工しました。
⇒参照・引用元:『エジプト 原子力発電庁』公式サイト「プロジェクトの進捗」
上掲のように、エジプトの「原子力発電庁」では、初号機サイトのコンクリ打ちが開始されたことを告げるリリースも出しています。
すでに主契約者はロシア企業が受けていますが、韓国は何をするの?――です。
韓国は原発輸出を行うわけではない
産業通商資源部は以下のように説明しています。
ㅇ参加範囲:機材・資材供給、タービン建物建設など
ㅇ事業費:3兆ウォン規模
ㅇ事業期間:2023年〜2029年
韓国が行うのは、必要機材・資材の供給と建物の建設です。韓国側のフロントは『韓国水力原子力発電公社』です。
つまり、「UAEのバラカ原発」以来13年ぶりの原発プロジェクト受注と書いていますが、いつも誇っている「韓国型原発」の輸出に成功したわけではありません。
また、エジプトはプロジェクトの総額を300億ドル(約4兆1,016億円)としており、韓国の産業通商資源部は請け負ったのは3兆ウォン(約3,000億円)となっていますので、規模としてはプロジェクト全体の「7.3%」に過ぎません。
なぜロシアが韓国企業に仕事を出すのかよく分かりませんが、『ASE』社と『韓国水力原子力発電公社』の交渉自体は2017年から始まっており、2021年12月には『韓国水力原子力発電公社』が単独交渉者として指名されていました。
2022年02月にロシアの無法な侵略によってウクライナ戦争が起こり、この先どうなるのか分かりませんでしたが、ようやく事が決したとのこと。
きちんと施工できるのか?文在寅のせい
産業通商資源部のプレスリリースでは「原発産業の生態系の復活に役立つ」としています。それは全くそのとおりですが、問題は請け負った仕事をきちんと完遂できるのか、です。
韓国の前文在寅政権がクリーネネルギー政策といって「脱原発」に舵を切り、そのため韓国原発作業の屋台骨を支える『斗山重工業』がリストラを行いました。Money1でもご紹介しましたが「これで韓国原発産業の技術力を支えることなどできるのか」という声が当時から起こっていたのです。
そのくせ、海外への原発受注に向けて大統領自身が熱心に営業をかけていたのですから、やっていることが無茶苦茶です。
ものが原発ですから、何かあったら「すみません。うまくできませんでした」では済みません。
もちろん最終責任は主受注者であるロシアの『ASE』が負うのですが、『ASE』が「あんなところに発注しなきゃよかった」と悔やまないで済むことを心より祈念いたします。
なにせ韓国には「できないのに受注してくる」という悪い癖(ヘキ)があります。
もう1点懸念があるのは、韓国企業は施工などの代金を元請けである『ASE』から支払われることになるのでしょうが、代金をちゃんとドルで支払ってくれるのか?です。
ロシアは、ウクライナ戦争を起こした自業自得で自由主義陣営国から経済封鎖を受けています。韓国企業に支払うドルはあるのかは気になるところです。「ルーブルで支払うつもりじゃないでしょうな」などと考えてしまうのですが……。
読者の皆様もぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)