2020年、コロナ禍で景気が悪くなる中、韓国の金融当局は流動性を急拡大させました。このじゃぶじゃぶのお金が投資に向かい、株式、不動産、暗号資産などの急騰を招きました。
一大株式投資ブームとなったのですが……
韓国の家計負債が異常に増加したのは、このような投資の過熱による面が大きく影響しています。
韓国株式市場では「東学アリ」という言葉ができるほど株式ブームとなりました。
当時、『韓国銀行』の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁、また洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官は「借金してまで株式投資なんかするんじゃないぞ」と家計負債の異常な伸びに警告を発したほどでした。
で、2022年11月現在どうなっているかというと、株価が下落局面に入ったことや政府が手を打った融資規制などの施策が効いて、借金、いわゆる信用取引で株式投資を行う人は減少しています。
実際、証券会社の信用供与残高自体が減少しているのです。『金融投資協会』によると、
2022年11月01日基準「信用供与残高」
KOSPI:8兆5,859億ウォン
KOSDAQ:7兆5,182億ウォン
小計:16兆1,041億ウォン
となっています。
信用供与残高というのは、個人投資家が証券会社に保有している株式や現金を担保でお金を借り、株式を買ったが「まだ返済していないお金」のことです。
信用供与残高は、2021年末では「23兆886億ウォン」だったので、30.1%も減少しています。
借金して株式投資を行う人が減ったというので良かったとなるかもしれませんが、まだ行っている人は多いという見方もできます。
というのは、この16兆ウォンという数字は株式投資ブームが過熱と指摘された2020年11月頃の水準だからです。
また、この減少には「金利の上昇」が大きな影響を与えていると考えられるのです。これが大問題です。
信用供与の利率が「10%」を超える無茶苦茶
信用許与ではお金を借りるわけですから、当然これには金利が付き、個人投資家は元利返済を行わなければなりません。ところが……。
この金利が年10%を超える証券会社が出ているのです。
90日超金利:10.5%
31~90日:9.9%
例えば、上掲のようになっていますが、これは特に『現代自動車証券』だけではないのです。『サムスン証券』の非対面口座で90日以上の場合「年利:9.9%」、『NH投資証券』で16日以上「年利:9.9%」など、軒並みほぼ10%です。
『韓国銀行』が金利をまだ上げますので、当然信用供与の金利もここからさらに上がります。
考えてみてください。このような金利でお金を借りて株式市場にお金を投入しても、元利払いがあることを考えると儲けは出るでしょうか。
信用供与残高がこの2022年の10カ月で30%も減少したのは、金利の高騰に耐えかねてギブアップする個人投資家が増加したからではないのか?という推測も成り立つのです。
株式市場が上がっていればまだいいのですが、毎日Money1でもご紹介しているとおり、韓国株式市場は上昇トレンドに反転したとは言いづらい状況です。
果たしてさらなる金利上昇に「東学アリ」の皆さんは耐えられるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)