【半導体戦争】韓国の「呆れる皮算用」。中国は激怒

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まず中国です。

アメリカ合衆国が2022年10月に出した対中国半導体規制によって、中国は最新のチップが入手できなくなりました。また、合衆国・日本・オランダが基本合意したことで、中国へは半導体製造に関わる替えのきかない重要な装置は輸出できなくなります。

さすがに石器時代に戻すことはできませんが、中国の半導体製造はこれによって大きな打撃を受けます。

このような合衆国主導の措置について、中国外交部は猛烈に反発しています。以下に中国外交部の定例ブリーフィングから引用します。

ブルームバーグ:
報道によると、オランダと日本はバイデン政権と協力して、チップ技術の中国への輸出を制限する予定です。外務省のコメントは?

王文斌:
自らの覇権と自己利益を維持するために、合衆国は国家権力を繰り返し利用し、輸出規制を乱用し、技術と経済および貿易の問題を政治化、手段化、兵器化しており、友人や自己を犠牲にさえしている。

経済的に同盟国を強要し、悪意を持って中国を封鎖し抑圧する企業は、産業の「移転」と「分断」を人為的に促進している。

関連する行動は、市場のルールと国際経済および貿易秩序を著しく損ない、中国企業の正当な権利と利益を損なうだけでなく、世界の産業チェーンとサプライチェーンの安定にも影響を与えている。

国際通貨基金の調査によると、テクノロジーのデカップリングにより、多くの国でGDPの約5%が失われる可能性がある。

関係当事者には、客観的かつ公平な立場を堅持し、自らの長期的利益と国際社会の共通の利益から出発し、独自に正しい判断を下していただきたいと願っている。

また、関連する動向に細心の注意を払い、正当な利益を断固として守る。

⇒参照・引用元:『中国 外交部』公式サイト「2023年01月20日、外交部の汪文斌報道官は定例記者会見を主催した」

「中国の正当な利益を断固として守る」と述べていますが、この正当な利益というのはなんでしょうか。何を指しているのかよく分りません。

「自らの長期的利益と国際社会の共通の利益から出発しろ」といっているのですが、だからこそ中国を排除しようとしているのが理解できないようです。

ここで中国の半導体産業を潰してしまわないと、「合衆国・日本・オランダの長期的な利益と国際社会の共通の利益にならない」から行っているのです。できれば短期間で潰してしまいたいところです。

「効いてる、効いてる」――ですが、これが韓国にも効いています。

半導体製造装置Top5が中国に輸出しない

次に韓国。半導体製造にかかわる必須装置が中国に入れられない――となると、韓国半導体企業が中国本土に建設したファウンドリーが枯死します。

もちろんこれは予定どおりのことです(3年以上前に予測された事態です)。

もちろん合衆国は、(一応外国のことも慮った体をしており)「案件ごとの許可制とする」としているのですが、生殺与奪の大本を合衆国が握っていることに変わりはありません。

例えば、韓国メディア『毎日経済』は次のように書いています。

(前略)
合衆国・日本・オランダの3カ国間交渉で、合衆国企業だけでなく日本とオランダなどの同盟国に本社を置く企業も輸出規制に参加することになった。

これにより『アプライドマテリアルズ(AMAT)』、『ラムリサーチ』、『KLA』などの合衆国企業だけでなく、オランダ『ASML』、日本『東京エレクトロン(TEL)』などグローバルTop5の半導体装備企業が全て中国に先端装備を供給することができなくなった。

(中略)

注目すべきは、EUV露光装置だけでなく、深紫外線(DUV)露光装置のうち、液浸露光装置までに範囲を拡大したという点だ。

EUV露光装置より前世代のDUV露光装置は、スマートフォンやPCなど汎用半導体チップを作るのに使われる一般的な装置だ。

中国ファウンドリー企業『SMIC』は7nm半導体チップをDUV装置を用いて生産していることが分かっている。

日本企業『ニコン』が開発した液浸露光装置は、DUV装置に該当するが、5nm半導体チップの生産も可能であると伝えられる。

合衆国が液浸露光装置を輸出規制項目に含めたことは、事実上7nm以下の超微細工程への進入を遮断する意味と解釈できる。

このような制裁効果が反映されると、中国は現在生産されている半導体チップの他に、次世代半導体チップ生産のための装置へのアクセスがほとんどできなくなることになる。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「中線トップ5半導体装備できない… サムスン・SK現地工場「超緊張」」

中国の半導体生産を徹底的に邪魔するべく合衆国がいかに努力しているのかが分かりますし、上掲のとおり中国が怒り心頭なのももっともです。必要なものを「売ってやらん」というわけですから。

「韓国企業に反射利益があるのでは?」ですって

『毎日経済』の記事が面白いのは以下の部分です。

(前略)
『サムスン電子』、『TSMC』など、グローバル半導体企業は昨年3nm以下の工程で量産を開始し、2025年前後に2nm量産を開始することを目指している。

時間が経つにつれて中国企業が競争で遅れていくだろうだけに、『サムスン電子』と『SKハイニックス』など、韓国半導体企業が反射利益を得ることができる――という見方も存在する。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「中線トップ5半導体装備できない… サムスン・SK現地工場「超緊張」」

中国半導体企業が足踏みをしている間に、『サムスン電子』と『SKハイニックス』がその分の利益を得るんじゃないか?と虫のいい「皮算用」をしています。

頭は大丈夫なのでしょうか。

Money1でもご紹介したとおり、現在まだ『サムスン電子』と『SKハイニックス』の中国本土ファウンドリーに必須の素材・部品・装備が供給できているのは「合衆国が1年間の猶予を与えているから」です。

このモラトリアムの期間に極力中国リスクを軽減する方法を講じなければなりません。特に『SKハイニックス』はインテルから購入した(まだ代金の未払いアリ)中国工場をどうするつもりでしょうか。

中国が遅れるぶん、ウチがもうかっちゃうかもよ」じゃないでしょう。

前向きというか、何も考えていないというか、これぐらい野放図兼前向きでないと韓国人はやっていられないのかもしれませんが、少しは「事態が悪くなるかも」などと考えた方がいいのではないでしょうか。

どうも「いける、いける大丈夫」で前進しているようで危なかしい限りです。

(吉田ハンチング@dcp)

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