日本人の国籍が「5,000円」で買えた時代があった……そうです

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萩原遼さん(1937年-2017年)をご存じでしょうか? もともと日本共産党党員で、『赤旗』特派員として北朝鮮の首都・平壌で暮らした経験もありましたが、その後、共産党・『赤旗』と袂を分かち、ジャーナリストとして北朝鮮問題に取り組んでいらっしゃった方です。

朝鮮戦争は北朝鮮軍の南進で始まった

萩原さんの仕事で圧巻なのは、単身アメリカ合衆国へ渡り、国立公文書館に保管されている「朝鮮戦争時に合衆国が奪取した文書」約160万ページを全て調査し、「朝鮮戦争は北朝鮮軍が南進して始めたものである」ことを明らかにしたことです。

現在では、朝鮮戦争は北朝鮮が国境線を超えて電撃的に始めた戦争であることが常識となっていますが、かつては「いや、実はアメリカ合衆国が北進して始めたのであって、北朝鮮軍は受けて立っただけ」という妄想のような説が信じられていた時代があったのです。

萩原さんは、2年8カ月に及ぶ孤独な作業によって奪取文書を精査。朝鮮戦争は北朝鮮軍が綿密な準備な基に始めたものであり、1950年06月25日、38度線沿いに部隊がどのように配置されていたのかまでもつまびらかになったのです。

これは『金日成とマッカーサーの陰謀 朝鮮戦争』(文春文庫,1997年)という本にまとまっています。もし興味を持ったらぜひ読んでみてください。

朝鮮半島からの密航が多かった時代があった

萩原さんの著書『北朝鮮に消えた友と私の物語』は、萩原さんの朝鮮籍の友人と自身の関わりについて描いたものです。この中に以下のような部分があります。

<<引用 ここから>>

こうして金竜南はようやく東京・新宿に住んでいた父との再会を果たしたのである。
翌々年の五九年三月、金竜南は専修大学経済学部を受験して合格した。大学入試のため日本国籍を買った。五千円だった。今の金で十万円ぐらいだろうか。

<<ここまで>>
引用元:『北朝鮮に消えた友と私の物語』(文春文庫,2001年05月10日第1刷)P.158
強調文字は筆者による

この金竜南という人は、萩原さんが朝鮮語を学ぶために朝鮮総連の新宿支部で会い、そこから40年もの親交を結ぶことになる人物です。この本の中では、金さんがいかに動乱の朝鮮半島で生き抜き、日本に密航してきたのかが詳細に語られています※。

1948年-1950年にかけて、南朝鮮では政治的な激しい闘争から朝鮮戦争へ突入する激しい時代で、半島から日本に密航する人も多かったのです。そのため日本国籍に対するニーズも高かったのでしょう。

しかし、今となってはこの「5,000円」が高いのか安いのか……、現代に生きる私たちにはなかなか判断できないですね。

⇒参照:『Money1』「南朝鮮の経済崩壊「11年周期説」 2019年にきっとクル!?」
https://money1.jp/?p=9538

⇒参照:『Money1』「新大統領の『どうしようもない現状』その02「家計債務」」
https://money1.jp/?p=1644

(柏ケミカル@dcp)

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