ストキャスティックは有力な指標(INDEX)で現在でも多くのトレーダーに愛用していますが、ストキャスティックがうまく働かない場合もあります。今回はストキャスティックの弱点についてご紹介しましょう。
■クロスポイントだけでなく「数値」を確認すること!
まず「Fastストキャスティック」ですが、前回の記事でも少し触れましたが非常に動きが早く、そのため売買タイミングのサインが頻繁に出て非常に忙しいことになります。またクロスポイントを売買サインと見るにしても、そのポイントごとを取り出してみると「ここで売っても大丈夫か」あるいは「ここで買っても大丈夫か」となることもあります。
つまり、動きが早すぎてポイントごと、瞬時の見極めが難しくもあるのです。ですから売買サインとしては、このINDEXが「買われすぎ」「売られすぎ」を示すものであるという大原則を踏まえて、クロスポイントが発生しても「その数値が80%以上だから買われすぎ」「その数値が20-30%以下だから売られすぎ」というふうに、常に数値もチェックするのを忘れないようにしましょう。これは「Slowストキャスティック」でも同じです。
「Slowストキャスティック」は「Fastストキャスティック」と比べて、動きが滑らかになりますのでより売買サインが明確になります。「Fastストキャスティック」の売買サインがあまりにも忙しいという人であれば、「Slowストキャスティック」を使うか、あるいは両方を参照するのが良い使い方になります。
■下落局面ではストキャスティックの信頼度が落ちる!
さらに重要なのは「株価の下落局面においてはストキャスティックの信頼度が落ちる」という点です。佐藤ボイラー(バカ)が損切りしたイグニス(銘柄:3669/東証マザーズ)のチャートを再度確認してみましょう。これは「Slowストキャスティック」で、いつもどおり株マップ.comのクオンツチャートからの引用です。
まず②のエリアを見てください。01月19日に%DがSDのラインを上向きに抜きました。通常であればこれは「買いのサイン」です。この日の終値は「5,440円」です。この後、%Dのラインは上昇を続けます。
そして頂点を作るのが01月27日です。この日の終わり値は「5,410円」で、買いのサインが出てからむしろ下がっているのです。そして%DのラインがSDのラインを上から下へ追い抜くのは01月31日。通常であれば「売りのサイン」ですが、この日の終値は「5,320円」。もちろんストキャスティックの場合、売りのサインは80%以上になったらなのですが、しかしクロスポイントを売買サインとするとうまく機能していません。これは、ストキャスティックの売買サインが下落局面ではうまく働かない見本といえます。
■ストキャスティックが上で張り付くケース
さらに上昇局面においてもストキャスティックに問題が生じるケースがあります。エリア①を見てください。株価は上昇を続けていますが、その上昇の様子をうまく捉えられず、上部に%Dの値が張り付いたままになっている状態が見られますね。これではどのポイントが売りのポイントなのがうまく見極めることが困難です。
株価が順当に上昇している際にストキャスティックはこのような動きを見せることがあり、その場合にも注意が必要なのです。ストキャスティックは有力なINDEXではありますが、より確実に売買サインを見極めたい場合には、MACDなど他のINDEXとの併用をお薦めします。
(高橋モータース@dcp)