株式の売買タイミングを見極めるためには各種の指標(INDEX)をうまく使えなければなりません。MACDはINDEXの中でも多くのトレーダーに愛用されているものです。MACDについてご紹介するのもこれで7回目。読者の皆さんもMACDに対する理解が深まってきたのではないでしょうか。今回は、MACDの考案者であるジェラルド・アペルが勧めるMACDのより踏み込んだ使い方についてご紹介します。
アペルが自著『アペル流テクニカル売買のコツ』(パンローリング社刊・原題『Technical Analysis:Power Tools for Active Investors』)の中で解説しているのが、「売買のために異なるMACDの組み合わせを使用してMACDのシグナルを改善する」ことです。
これは、
●「動きの早いMACD」を買いのサインに使う
●「動きの遅いMACD」を売りのサインに使う
というものです。
例えば、「12日」の指数平滑移動平均(以下、略称のEMAを使います)と「26日」のEMAから成るMACD、「9日」の指数平滑移動平均のMACD(これがシグナル)によって「買い」のタイミングを測る。
そして、「19日」のEMAと「39日」のEMAから成るMACD、「9日」の指数平滑移動平均のMACD(上記と同様のシグナル)によって「売り」のタイミングを測る、のです。
上記の「12日」「26日」のEMAから成るMACDは、「19日」「39日」のEMAから成るMACDより変動が早く、そのためより早く売りシグナルを出してしまいます。しかし、「19日」「39日」のEMAから成るMACDは相場の小さな変動には反応しません。そのため、売りのための天井を見極めるのに、より向いているというのです。
確認してみましょう。以下は任天堂(銘柄:7974)の2016年10月18日-2017年1月17日の日足チャートです。MACDは、日本で一般的に用いられている「5日」のEMA(指数平滑移動平均)と「20日」のEMAから成るものです。シグナルは「9日」です。
「買い」のタイミングは動きの早いMACDが捉えているかを確認してみましょう。アペルの言う「12日」「26日」のEMA(指数平滑移動平均)から成るMACDに切り替えてみますと、このように「買い」のタイミングを見事に捉えていますが、「売り」のタイミングについては天井を外しています。シグナルとクロスしていますので、ここで「売り」と捉えてもおかしくないでしょう。
今度は「19日」「39日」のEMA(指数平滑移動平均)から成るMACDです。このように「買い」のタイミングは上掲のMACDよりも遅く示しています。しかし、「売り」のタイミングについては見事に天井を捉えています。動きの遅いMACDは、買いのタイミングを測るには、やや鈍いのですが、売りのタイミングを測るには、動きの速いMACDよりも信頼がおけるのです。
売買のタイミングをより正確に測るために、複数のMACDを参照するというのは有効な場合があるのですね。購入した株式を売るタイミングを測るのに参考になるのではないでしょうか。
(高橋モータース@dcp)