中国「国有企業が“人民武装部”設立の動き」なぜ企業に武装可能な集団が必要なのか?

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『Radio Free Asia』が興味深い記事を出しています。中国の国有企業内に「銃で武装可能な人民武装部」を設立する動きが広まっているというのです。

例えば、2023年08月28日『上海城投集団』(SIIG)は、「国防予備軍の建設を強化する」などの理由で、中国人民解放軍上海警备区(駐屯地)直属の「人民武力部」を設立しています。

この『SIIG』は、上海市国有資産監督管理委員会の下で、上海市政府から都市インフラ投資、建設、大規模専門投資産業グループ会社の運営に関する権限を与えられています。


↑『上海城投集団』「人民武装部」の設立総会の模様を報道する記事。

人民武装部の設立総会当日、壇上にいた7人のうち4人までが中国共産党幹部だった、とのこと。

それだけでなく、現上海警察予備隊長の劉杰少将と政治委員の胡世軍少将が同部門のプレートを除幕、劉杰少将は「党の武力管理の政治的属性と時代の特徴を深く理解してほしい」と述べました。

2023年に「人民武装部」を設立した国有企業は、『SIIG』が初めてではありません。『広東恵州市水集団』、『交通投資集団』、『恵州市建設投資集団』などの国有企業が最近「人民武力部」を設立しています。

また、『武漢農業集団』の公式サイトは、2023年に入ってから、武漢の9つの国有企業が「人民武装部」を設立したとしています。


↑武漢市地方政府の公式サイト。『武漢農業集団』に「人民武装部」が成立したことを告げています。

『武漢農業集団』は、「人民武装部は政治的地位を高め、習近平の軍事強化思想を常に念頭に置き、草の根の人民武力工作の正しい方向性を確保すべきだ」と述べています。

2023年05月26日、『内蒙古蒙牛集団』も上掲のとおり「人民武装部」を設立しました。

『Radio Free Asia』は「この問題に詳しい関係者によると、今年これまでに23の国有企業が『人民武装部門』を設立した」としています。

「人民武装部」とは、中国共産党が県、郷、大学などに設置する「軍事部門」であり、中共軍事委員会国防動員部の下部組織で、戦時に動員される性格が強い――とのこと。

なぜ、そんなものを国有企業内に設立するのでしょうか?

現在、『恒大集団』は許家印会長逮捕などによって、存続が危うくなっていますが(事実上破綻しているのですけれども)、事務所の回りは警察に囲まれているとのこと。デモなどを鎮圧するためです。

↑警察によって警護されている『恒大集団』事務所に人が集まり、一部の人が警察に連行されています/YouTube『TBS NEWS DIG』チャンネルの動画

設立が続く「人民武装部」は、このような治安維持のために投入されると考えられないでしょうか。つまり、武装集団の投入可能性を想定しているのだとすれば、「その時」が近いのでは……。

中国はいよいよマズイ方向に進んでいるのではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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