銀行にお金を預けていても全く増えない時代です。金利が最低水準ですからね。お金を増やそうと思ったらやはり何かに投資しないといけません。でも、投資というと、そんなお金ないよ、と思ったりしていませんか? 専門家にいわせると、その考え方を変えた方が良いようなのです。
フィデリティ退職・投資教育研究所所長・野尻哲史さんにお話を伺いました。
■「まとまったお金」になるのを待ってはいけない!
――投資というと、まとまったお金がないとできないというイメージがあるのですが。
野尻所長 そうですね。私共のアンケート調査でも、100万円あれば投資を考えるという人が最も多いという結果が出ています。しかし、サラリーマンの皆さんにとっては100万円ためるというのはけっこう大変ですよね。
毎月1万円を節約して貯めていっても100万円貯めるためには8年4カ月かかります。そんなにかかって貯めたお金はなかなか投資には使えませんよね。でも100万円ないと投資ができないというわけではないのです。
――では、どのように考えればいいのでしょうか?
野尻所長 皆さんの多くは、所得があって、生活に必要なお金を引いて、その中からお金が余れば投資するという考え方ではないでしょうか。そうではなく、所得から投資のお金を引いてその残りで生活するという考え方をするのはどうでしょうか。
そうすると、100万円を貯めて投資をするのではなく、100万円を作るために投資をすると考えることができます。もう少し言い方を変えると、投資が目的ではなくて手段になるのです。
――貯金を成功させるには、その貯金金額の分だけ天引きして、その残りで生活するようにしようなどといわれますが、それと同じ考え方ですね。
■資産形成を考えるなら少額でも投資すべき
野尻所長 少額でも投資をすることです。NISAという少額投資非課税制度がありますが、これは1年で投資できる金額が120万円です。しかし、120万円ないと投資できないのではありません。
例えば、月額1万円でも1年で12万円になります。残った枠が(現制度では利用できないため)もったいないですが、それでも投資しないよりははるかに良いのです。投資の結果、その12万円が値上がりしたり、配当や分配金があればその分お金は増えますしまた非課税です。
投資してもし3-4%の利益が出るのであれば、銀行の預金金利「0.025%」とどちらが良いかは比べるまでもないでしょう。
――3%、4%の利益を上げるというのは難しいのでしょうか? そのハードルの困難さにもかかってくると思うのですが。
野尻所長 3-4%というのは決して難しいハードルではありません。むしろこのぐらいのパーセントを目指して手堅く増やしていくというのが日本人らしくて良いのではないでしょうか。日本人はコツコツが好きですから。私も好きですけれども(笑)。
――投資のリスクを取るのが嫌だという人もいらっしゃいますが。
野尻所長 もちろん投資ですから損をするリスクもあります。しかし、先ほど申し上げた月額1万円の投資といった「積立投資」による資産形成を考えるのであれば、ある程度リスクを取っても時間分散で抑えることが可能です。積立投資はリスクを抑えた投資を可能にする方法なのです。
このまま何もしないで資産形成ができず、厳しい老後になるというリスクを考えるのであれば、資産が値下がるかもしれないというリスクの方が小さいのではないでしょうか。
――ありがとうございました。
いかがだったでしょうか。「まとまったお金があったら投資する」「まとまったお金ができるまで待とう」ではいけないようですね。資産形成を考えるなら、少額でも投資を行うのが良いとのことです。
より詳細な投資に関するアドバイスが欲しい人は、野尻さんの以下の本を参照してください。具体的な提言が満載です。
データ出典:『貯蓄ゼロから始める 安心投資で安定生活』(明治書院)著:野尻哲史
(高橋モータース@dcp)