↑洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは、朴槿恵(パク・クネ)大統領が引きずり降ろされたときの大統領選挙で文在寅に負けています(得票率:文在寅41.08% vs 洪準杓24.03%の惨敗)。
『国民の力』保守寄りの重鎮議員・洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは、大邱市の市長職を辞して大統領候補に出馬したのですが、予備選で敗れました。
↑『国民の力』の大統領候補者は8人からこの4人に絞られ、最終的には左端の金文洙(キム・ムンス)さんとなりました。
洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは、これが最後と気合を入れて予備選に臨んだのですが、敗れたため政界から引退※し、2025年05月10日にアメリカ合衆国へ出国する――としました。
傷心旅行みたいなものかもしれませんが、政局で敗れた韓国の政治家はよく外国に出かけます。
※2025年04月29日、洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは記者会見を開き、「今日をもって30年間の政治人生を卒業し、市民として戻る」と述べました。
金文洙(キム・ムンス)さんが「降りない」ので
前国務総理(首相に相当)の韓悳洙(ハン・ドクス)さんが、急きょ無所属で大統領選挙に出馬すると表明。『国民の力』の統一候補が金文洙(キム・ムンス)さんに決まった後でした。
保守寄り勢力としては、金文洙(キム・ムンス)さんよりも韓悳洙(ハン・ドクス)さんの方が(まだしも)勝ち目がありますので、『国民の力』の上層部は「韓悳洙(ハン・ドクス)さんを統一候補に1本化」するべく調停に乗り出しました。
しかし、統一候補になった金文洙(キム・ムンス)さんは納得できません。「予備選はいったい何だったんだ」「なぜ党がオレを引きずり降ろそうとするんだ」「無所属の候補を党の大統領候補に選ぶのか」――と怒ってしまいました。
民主的な経緯で選ばれたのに納得できない――という金文洙(キム・ムンス)さんの主張には一理あります(ありますが……:後述)。
しかし、「引きずり下ろす理由」はただ一つです。
「あんたでは李在明(イ・ジェミョン)に勝てない」
からです。
『国民の力』としては「次期大統領選挙で負けたら何もかもおしまい」。
勝ち目がまだマシな韓悳洙(ハン・ドクス)さんで行きたいところなのですが、金文洙(キム・ムンス)さんが「降りる」と言いません。
↑『国民の力』の上層部は「なんとか一本化してくれえ(金文洙(キム・ムンス)は降りてくれ)」と断食を始める始末。右が『国民の力』の非常対策委員会の権成東(クォン·ソンドン)院内代表。
2025年05月08日、金文洙(キム・ムンス)さんと韓悳洙(ハン・ドクス)さんの2回目の会談が行われたのですが、全くの平行線。
↑最初はこういう感じで始まった「金文洙(キム・ムンス) vs 韓悳洙(ハン・ドクス)」会談。右が金文洙(キム・ムンス)さんです。
↑議論平行線で会談はこのような感じに。
――というわけで、『国民の力』は候補を韓悳洙(ハン・ドクス)さんにできない状態でズルズルといっています。
投票用紙の印刷など準備があり、候補者が登録されるためのタイムリミットは05月11日とされています。
もう時間がありません。
最終候補を決定するための全国委員会を開催する!
『国民の力』は「最終大統領候補を指名するための党全国委員会」の開催を2025年05月11日に行おうとしているのですが――、
金文洙(キム・ムンス)さん側は、これを開催させないためにソウル南部地方裁判所に「11日に予定されている国民の力の全国委員会の開催を禁止してほしい」と仮処分申請を出しまた。
しかし2025年05月09日、ソウル南部地裁は金文洙(キム・ムンス)さん側の申請を却下しました。
理由は――、
「金文洙(キム・ムンス)候補は予備選過程で継続的に韓悳洙(ハン・ドクス)候補との一本化を行うという立場を表明していた」
「事実上、候補者確定に関わる一本化の手続きの進行について直接的な利害関係を持つ金文洙(キム・ムンス)候補に、(全国委員会開催の可否に関しての)党務優先権が無条件に保障されるとは言えない」
としました。
そうなのです。そもそも金文洙(キム・ムンス)さんは予備選の間に韓悳洙(ハン・ドクス)さんとの1本化を行うのもやぶさかではない――という態度でした(22回1本化すると述べたとカウントされています)。
ですから、今になって最終候補を選ぶ大会を開催させないというのは「おかしいじゃないか」というわけです。
もちろん、モロに利害関係者である金文洙(キム・ムンス)さんに開催を止める権利があるとは言い難いだろう――という理屈も(一応)納得できるものではあります。
このまま何もせず、金文洙(キム・ムンス)さんと韓悳洙(ハン・ドクス)さんが出馬しても、李在明(イ・ジェミョン)さんに負けるのは確かです。
断食などやっている場合ではありませんし、まして内輪もめなどもってのほかです。韓国の保守寄り勢力は内紛で今自滅しようする途中です。
洪準杓(ホン・ジュンピョ)も逃げ出す韓国政局の現状
――で、洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんです。
2025年05月09日、洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは、ソウル南部地方裁判所に
「金文洙(キム・ムンス)候補が常任選対委員長職を提案してきたが、引き受けないと伝えた」
「明日予定どおり合衆国へ出国する」
――と表明。
金文洙(キム・ムンス)陣営は、
「洪準杓(ホン・ジュンピョ)前市長は10日に出国して合衆国に滞在する計画を変更し、金文洙(キム・ムンス)大統領候補の選挙勝利のために常任選対委員長を受け入れることにした」
とメディアに公表していたのですが、全くのウソだったことになります。
洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんは国外脱出しますが、「韓国を見捨てた」ようにも見えます。気持ちは分らないでもありません。
保守寄り勢力の重鎮であった洪準杓(ホン・ジュンピョ)さんが韓国を見捨てて脱出したくなるような状況となっているのです。
(吉田ハンチング@dcp)