韓国「中国鉄鋼会社への反ダンピング関税を免除する」日和った!

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韓国政府が日和りました。

Money1でもご紹介してきたとおり、中国からの激安輸入鉄鋼製品の流入に対して、韓国地場の鉄鋼企業は業績が傾き、青息吐息になっています。

「企業の生き残りに関わる」というので、『現代製鉄』などから陳情の声が上がり、韓国政府はアンチダンピング課税を科す――となっていたのですが、突如として「やめ」になりました。

2025年05月21日、企画財政部は告示を通じて、中国の『山西太原钢铁(集团)有限公司』(Taiyuan Iron and Steel Corporation:TISCO:)などの主要輸出業者から「輸出価格の引き上げの約束」を受け入れ、ステンレス鋼平板圧延製品に対してはアンチダンピング関税を課さない――としました。

価格順守の有無を四半期ごとにモニタリングして、約束を破った場合には直ちに関税を科す――とのこと。

中国産鉄鋼に限らず、インドネシア・台湾産の鉄鋼にも同様の条件が適用されました。

産業通商資源部は、2021年09月から中国・インドネシア・台湾産のステンレス鋼平板圧延製品に対して最大25.82%の反ダンピング関税を科していました。

『TISCO』を含む、系列の『TISCO香港』『TISCOトレーディング』『太鋼保税』などは、韓国の輸入業者に販売する製品について、

・基準価格と最低価格を設定

して、これを下回る価格での輸出はしないことを約束しました。

「太鋼保税(TISCO Bonded)」は『TISCO』が設立した関連企業で、主に保税区域(Bonded Zone)内での鉄鋼製品の貿易・流通を担う、いわゆる「保税企業」です。

「保税企業」というのは、保税区域内で、輸出入貨物の保管、加工、流通などを行う企業を指します。これらの企業は、関税や輸入税の支払いを一時的に免除されるなどの特典があります。

「保税区域(Bonded Zone)」とは、輸出入に関わる貨物を一時的に関税や消費税などを課されずに保管・加工・流通できる特別な区域のことです。

関税法上の「国内にあるが、税関上は外国とみなされる区域」で、輸入品に関税をかけずに加工・組み立て・保管・展示などが可能。

このエリアはいろいろと利用できるわけです。

四半期ごとの最低価格は、2021年04月の価格を基準として、直近の四半期の価格変動率を反映して算定される――とのこと。

併せて当該中国産鉄鋼の輸出業者は、毎四半期に、

・対象製品の輸出価格
・輸出量
・販売先
etc.

の詳細データを企画財政部および貿易委員会に提出しなければなりません。

また、韓国内での輸入申告の際にも、

・原産地証明書
・検査証明書

の書類を添付しなければなりません。

同企業が、迂回輸出の方式で約束を回避できないようにする「約束回避禁止条項」も明記した、となっています。

もし、

・輸出価格の不遵守
・資料提出の欠落
・故意の虚偽記載

などが確認された場合には、即座に反ダンピング関税が課されます。

韓国メディア『ソウル経済』は、

今回の措置は、韓国の鉄鋼市場で深刻化していた中国発の低価格攻勢に対応する一方で、中国との貿易摩擦を最小限に抑えるための妥協案として評価されている。

――と書いています。

さあ中国企業が約束など守るでしょうか。

Money1でもご紹介してきたとおり、中国の鉄鋼企業は業績が傾き、瀕死の状況なのですから、韓国市場で製品を売るためなら何でもするはずです。

(吉田ハンチング@dcp)

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