「年金」は老後の生活を支える大事なものです。しかし、「制度を維持するには不可能」「年金が将来もらえるとは思えない」といった否定的な意見も聞かれます。果たして年金はアテになるのでしょうか!? ずばり『日本年金機構』に取材してみました。
■年金ってホントに大丈夫なの?
日本年金機構の広報担当の方に話を伺いました。
――まず率直にお伺いします。最近さまざまな調査やアンケートで若者の年金に対する不信感が高まっているという結果が出ています。この点についてどのような感想をお持ちですか?
最近年金に対して不安を感じていらっしゃる方が特に若い世代で増えていることは私どもでも認識しております。ただ、具体的にどのような理由で不安なのかという点については実際には漠然としています。
多くの方に年金の仕組みを細かく理解していただけていないことが要因として大きいと考えています。
――誤解による面も大きいという意味でしょうか。
例えば多くの方が勘違いされているのが、「年金未納者は5割近くにも達しており制度破綻は時間の問題だ」などといった話です。しかしこれは大きな間違いなんです。
確かに公的年金加入者のうち、基礎年金のみに加入している第一号被保険者の納付率は5割ほどです。しかし、第一号被保険者の割合は全体の約3割。そして免除者や特例者といった納付の義務がそもそもない人もいますから、本当の意味での年金未納者というのは全体からすると5%くらいしかいないんです。
――5割と5%じゃ全く違いますね。
もちろん未納状態にある5%の方々には納付のお願いとご説明をきちんとしなければなりません。また、納付できない事情がある場合は免除や猶予といった手続きをきちんとしていただきたいと思います。
――日本年金機構では何か啓蒙(けいもう)活動のようなことはされているんですか?
年金機構では若い方々に年金に関する理解を深めていただくため、全国で1年間に約1,400回のセミナーを開催しております。受講された方は10万人にも達しており、セミナー後のアンケートでも「年金に対する理解が深まった」「不安が解消された」との回答をたくさん頂いております。
■すぐに納付が困難な場合は特例制度を利用しよう
――現実問題として納付が難しい人はどうすればいいのでしょうか?
年金は原則として20歳以上の方全員に加入と納付の義務があります。しかし、経済的な事情で納付が難しい学生の方には「学生納付特例制度」を利用していただきたいと思います。
この手続きを行っていただければ将来受け取る年金の受給資格期間に算入されますし、保険料を追納できる期間も10年間に延長されます。
――もし、特例制度を利用せずに放置しているとどうなるんでしょうか?
未納状態を放置してしまうと、当然将来受け取る年金額が低くなる、もしくは全く受け取れなくなるという事態が起こってしまいます。また、万が一病気や怪我で傷害を負ってしまったときに、障害基礎年金を受け取ることができなくなってしまうんです。
■老齢年金だけじゃない。障害年金って何?
――年金って老後にもらうだけじゃないんですか?
いえ、それは違うんです。国民年金には、
老齢基礎年金
障害基礎年金
遺族基礎年金
と三つの仕組みがあります。特に若い方にとって重要なのは老齢基礎年金よりもむしろ障害基礎年金の方だといえるかもしれません。
障害の状態によっても違いますが、年間約70万円以上の年金を受け取ることができる制度なんです。
――知りませんでした。では最後に、ズバリ!年金は今後も大丈夫ですか!?
煮え切らない答えで恐縮なのですが、年金制度は日本国の社会保障の根幹を成す重要な制度です。当然、設計上破綻することは国として想定しておりません。ですから、若い方々におかれましてはぜひ年金のことをもっと知っていただきたいですし、そうすれば必ずや安心・納得していただけると思います。
――ありがとうございました。
年金については知らないこと、誤解していることが大変多いことが分かりました。これからも政治家や年金機構の方々にはもっともっと制度の仕組みをアピールしてもらいたいですね。そして、とにかく未納状態のまま放置することだけはやめましょう。
免除申請をしておけば仮にずっと年金保険料を納付できなくても原則2分の1の基礎年金は受け取ることができるのです。分からないことがあれば地元の年金事務所が相談を受け付けてくれますし、将来のためにも、自分にもしものことが起こったときのためにも無視は絶対に駄目ですよ!
(中田ボンベ@dcp)