2008年のリーマンショック以降、徐々に回復し、景気拡大を続けているアメリカ経済ですが、ここにきて少なからぬ識者から「注意!」のイエローカードが提示される事態となっています。どんなシグナルに注意すべきなのでしょうか? 今回は、アメリカ経済の状況についてです。
まず全体としては、アメリカの景気拡大は今月末で8年間続いており、戦後三番目に長い好況となっています。
まずトランプラリーと呼ばれる相場が一段落し、まあメッキがはげたともいいますが、政府の経済政策に休止状況が出ている一方で、株式市場などは好況を呈しています。3カ月ぶりに最高値(たかね)更新するほどです。
そんな中、識者の指摘する注意シグナルは次の2点です。
1.新車の販売台数が8年ぶりに前年割れ懸念
2年連続過去最高を記録していたのがここにきて減速
2.不動産市場が過熱気味
1の新車販売台数の減速はFRB(連邦準備制度理事会)の利上げスタンスと大きく関係しています。自動車を購入すす際には自動車ローンを利用することが多いのですが、この金利が上昇傾向にあることが購買を抑止しているのではないかと推測されます。
2の不動産市場についてですが、これにはFRBも「商業用不動産に懸念が増した」としています。現在、商業用不動産に対する融資額が金融危機前を超える2兆ドル(過去最大)に達しているのです。また価格指数も、金融危機を受けて底となった2009年の2倍となっています。金融危機前と比べても1.3倍です。
金利が安いままなわけはないのですが、このままずっと安いままだろう、なんて甘い計画を立ててお金を商業用不動産に突っ込んでいたならば……FRBの利上げのスピードが増すとドボンになる可能性が高まります。しかし、現段階ではあくまでもFRBの懸念、という状況ですので、またバブル崩壊か、ということではありません。ただ注意は必要です。このようなときにこそ、お金儲けもタネもあるものです。
(柏ケミカル@dcp)