韓中「通貨スワップ」の延長契約締結を記念してか、韓国メディア『中央日報(日本語版)』に韓国が利用できる「通貨スワップ」(一応韓国メディアの表記に合わせ「 」でくくります)のまとめ記事が出ました。
同記事では以下のように述べています。
(前略)
韓国と中国の通貨スワップ延長契約が拡大締結されたことを受け、韓国が海外の国から緊急に借りることができる外貨規模は米ドル基準で1932億ドルから1962億ドルに増えた。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓中通貨スワップ「5年延長」に合意 韓国「為替の安全弁」…計1,962億ドル確保」
以下は恐らくこの計算でアテにしている韓国が「通貨スワップ」です。金額は利用できる最大金額です。締結期限が先にくるものを上にソートしました(表組は横にスクロールできます)。
相手国側 | 韓国側 | 期限 | |
スイス | 100億スイスフラン | 11.2兆ウォン | 2021年02月20日 |
アメリカ合衆国 | 600億ドル | 600億ドル相当のウォン | 2021年03月31日 |
UAE | 200億AED | 6.1兆ウォン | 2022年04月13日 |
マレーシア | 150億マレーシアリンギット | 5兆ウォン | 2023年02月02日 |
オーストラリア | 120億豪ドル | 9.6兆ウォン | 2023年02月22日 |
インドネシア | 115兆ルピア | 10.7兆ウォン | 2023年03月05日 |
中国 | 4,000億元 | 70兆ウォン | 2025年10月10日 |
カナダ | 金額設定なし | 金額設定なし | 無期限 |
CMI(チェンマイ・イニシアティブ) | 384億ドル |
※合衆国とのドル流動性スワップはレートを契約時に決めて、借りるドル金額と等価の自国通貨を用意しないといけませんので、一応「600億ドル相当のウォン」としました。また、新しく締結された韓中の通貨スワップは前回の契約の延長とされていますので期限を10月10日としました(2014年延長時に途切れてないとして)。
「115兆ルピアって何ドルなんだよ」となりますので、毎度のことで恐縮ですがホントに1,962億ドルなのか、2020年10月23日のレートで計算してみます。
相手国側(ドル換算) | |
スイス | 110億ドル |
アメリカ合衆国 | 600億ドル |
UAE | 54億ドル |
マレーシア | 36億ドル |
オーストラリア | 85.2億ドル |
インドネシア | 78.2億ドル |
中国 | 600億ドル |
カナダ | 金額設定なし |
CMI(チェンマイ・イニシアティブ) | 384億ドル |
小計 | 1,947.4億ドル |
合計「1,947.4億ドル」です。(実際に延長されるかどうかは不明ですが)合衆国のドル流動性スワップは時限措置で6カ月延長されただけなので、これがなくなると「600億ドル減」です。
で、CMI(チェンマイイニシアティブ)は緊急時に使えるのはその30%「約115.2億ドル」。これだけ使えて合衆国分がなくなったとすると「1,078.6億ドル」になります。
この場合、韓国と「通貨スワップ」を締結している国の最大利用限度額をドル建てで見ると以下のようになります(カナダとCMIは除いてみます)。
こうなると、韓国の緊急時に助けてくれる国がどこなのか、韓国がどこの陣営に属しているのかは一目瞭然ですね。
あと、『中央日報(日本語版)』の当該記事の最後は「日本との通貨スワップは2015年に契約が終了した後、新たに締結していない。」となっています。
何がなんでも日韓の通貨スワップに触れないと気が済まないようです。この最後の一文は余計なのではないでしょうか。残念ながら日本が韓国とかつてのような「通貨スワップ」取決めを結ぶ可能性はほとんどありません。
(柏ケミカル@dcp)