先の記事にあるとおり、日本人の多くが購入している投資信託(投信)はアクティブ投信・アクティブファンドと呼ばれるものがほとんど。これはインデックス型の投信と違って、ファンドマネジャーの裁量によって運営成績が変わります。
「お。あの銘柄が儲かりそう。あそこに○○○円突っ込むぞ!」などとファンドマネジャーが判断して運営されています。そのファンドマネジャーが優秀であればいいのですが、中にはそうでもない、というかボンクラなマネジャーもいるわけです。
ここで問題なのは、そのファンドマネジャーが優秀なのかボンクラなのかを見究めるのが非常に難しいということです。また、優秀なファンドマネジャーがいたとしても、その銘柄選択の目は正しく、運用利回りは期待できるものなのでしょうか!?
これを検証するのに、例えば米国株式の場合、普通株のベンチマークに使われる「ウィルシャー5000指数」(Wilshire 5000 Total Market Index)と比較してみるという方法があります。実は、多くのというか、ほとんどの(株式ミューチャル)ファンドがこのINDEXを上回ることができないという現実があります。
この種の研究はアメリカではたくさんあって、Money1でよく登場する『ウォール街のランダム・ウォーカー』の著者バートン・マルキールや、ウィリアム・シャープの論文がよく引かれるところです。毎度お馴染みのジェレミー・シーゲルによれば
「過去35年の間存続した138本の中で、ウィルシャー5000指数の利回りを上回ったファンドはわずか48本(全体の35%)しかない。このうち年間1%以上市場を上回ったのは30本しかなく、年間2%以上の市場を上回ったのはわずか14本にすぎない。反対に、存続ファンドの65%以上は市場の利回りを下回り、そのうち3分の2は市場を1%以上下回った。(中略)これらのファンドの実際の利回りは、販売や解約手数料が差し引かれるので、さらに悪化する」
と指摘しています。
引用元:『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』(原題『Stocks for the Long Run 4th Edition』)P.368
もし、あなたが証券会社や銀行からアクティブ投信への投資を求められていたら、その運用利回りについては常に疑念を抱いていた方が良いのです。そして、大事なお金を投資して良いかどうか、あくまでも慎重に、冷静に判断してください。
(柏ケミカル@dcp)