橋本卓典さんの『捨てられる銀行2 非産運用』(講談社現代新書)の中に面白いデータがあったのでご紹介します。日米で、どのような投資信託が購入されているのか、そのベスト5について調べたものです。2016年3月末日時点で純資産残高は、
●日本
第1位:米国不動産投資信託(REIT)
第2位:海外REIT
第3位:米国REIT
第4位:米国株式
第5位:米国低格付け債権
●アメリカ
第1位:米国株式インデックス
第2位:世界(アメリカを除く)株式インデックス
第3位:米国株式インデックス
第4位:米国株式
第5位:米国国債インデックス
⇒データ引用元:『捨てられる銀行2 非産運用』著:橋本卓典(現代新書)P.69
となっています。
比べてみますとすぐ分かりますが、日本ではファンドマネジャーの裁量で運用実績が変わる「アクティブ商品」ばかりです。一方のアメリカでは、4位を除けば全てが「インデクッス商品」で、つまり市場の価格変動にリンクして値動きするものです。ここで思い出していただきたいのは、「長期投資」を薦める識者がいう「どんなに凄腕のファンドマネジャーがいたとしても、例えばS&P500にインデックスした金融商品の運用実績を上回るのは容易なことではない」といった言葉です。
お金持ちの老人たちが買っている投資信託の多くは、そもそもが運用実績について「ファンドマネジャーの腕次第」というもので、だからこそ日米で投資信託に投下されたお金の運用利回りに差が出るのではないか、という推測が可能です。
同書は、金融庁の長官になった森信親さんが「日本人の投資についての政策」をどのように変えようとしているのか、また世界と日本の投資についての考え方がどのように違っているのかについてつまびらかにした好書です。機会があればぜひ手に取ってみてください。目からうろこが何枚も落ちること請け合いです。
(柏ケミカル@dcp)