金融商品である「投資信託(投信)」は、有用であれば長く運用され継続しますが、「ダメだな」となれば精算されます。このような現在は運用されていない投信に「中国ファンド」があります。
中国ファンドという呼び方で知られますが、これは「中期国債ファンド」を略したものです。その名前のとおり、主に中期国債※1に投資して運用する投資信託です。追加型公社債投信の一種ですので、株式は一切投資先に組み入れず、その分リスクを低く抑えます。
また、主な投資先が国債ですから「親方日の丸」でほとんど破綻の可能性がありません。銀行金利よりはマシなリターンが得られ、リスクが低いとして人気もあったのですが、日本銀行のマイナス金利導入によって、国債が投資先として不適格となり(マイナスですからね!)、繰り上げ償還※2されました。そのため現在では中国ファンドはありません。
低リスクでそこそこのリターンを得ようという意図で開発された投信ですが、まさかマイナス金利が導入されるとは想像だにしていなかったでしょうね。
※1:中期国債とは、日本政府の発行する国債のうち「満期までの期間が2年から5年のもの」を指します。ちなみに満期までの期間が10年以上のものを「長期国債」、1年未満のものを「短期国債」といいます。
※2:繰り上げ償還とは「償還日が来る前に、投資信託を繰り上げて償還させること」です。大量の解約が発生すなどして、保有する純資産が想定の水準を下回ると繰り上げ償還を考慮することになります。ただし、繰り上げ償還の実行には、運用会社と信託銀行が協議して合意に達し、所管する大臣の承認を得なければなりません。
(柏ケミカル@dcp)