先の記事の続きです。2020年11月04日、『韓国銀行』が10月末時点での外貨準備高を公表しました。先にご紹介したとおり、以下の結果でした。
要約すれば、「韓国の外貨準備は過去最高を更新!」で韓国メディアは大きく取り上げています。09月末から約60億ドル増加で、その内訳は以下です。
Deposits(預金):14億ドル増
なぜ増加したのかですが、『韓国銀行』の説明に注目すべきポイントがあるのです。『韓国銀行』はプレスリリースで、増加した理由について、
②지준 예치금(ジジュン預金)の増加
③ドル以外の外貨資産をドル換算した際の増加
に起因すると説明しています。
まず、①と③。
『韓国銀行』の業績と外貨準備高に影響を与えるので、為替レートの変動による差損については別項目を設けてそこに計上している――というコメントが出ているので、③については「?」です。確かにFRBが津波のような金融緩和を実施しているせいでドル安が進行しているため、ドル換算をした際の他の外貨資産の価値は上がるでしょう。
差損が出た際には別計上して、「利益が出た際には外貨準備に組み入れているのか?」という疑念が起こります。
①についても同様です。運用損が出た際にもきちんと計上しているのか?という疑問です。
で、問題は②です。「ちょっと待ってくれ!」と。지준 예치금(ジジュン預金)というあまり見ない言葉が出ています。これは「지급 준비 예금(支給準備預金)」の略称で、日本語では普通「準備預金」といいます。
これは準備預金制度によって金融機関が中央銀行に預け入れる預金です。
ジジュン預金:中央銀行に預けている銀行預金
(支給準備預金の略:日本では普通「準備預金」※)
と説明されます。
先にご紹介したとおり、韓国が死神と恐れるIMF(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)によれば、外貨準備とは「緊急時にその国の金融当局が即座に利用できる公的外貨資産」です。
銀行が中央銀行に預けているお金は確かに中央銀行の口座にあるかもしれませんが、これはその銀行のお金であって「公的な外貨資産」に組み入れていいものでしょうか? 民間セクターのお金にはならないのでしょうか。
韓国は、いざというときには「よその銀行の預金」も外貨準備として使うということになりますが。つまり、
韓国銀行「む! ドルが枯渇しそうだ。よし市中に供給だ!」
A銀行「ちょっと……それうちのお金じゃん」
みたいになりませんか。読者の皆さまはどう思われるでしょうか。
念のために『韓国銀行』のプレスリリースを以下に引用しておきます。
※準備預金制度については、日本の中央銀行『日本銀行』の説明を以下に引きます。
準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度です。 このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)といいます。
(柏ケミカル@dcp)