日本国債は安定資産なんていわれます。日本政府もその信用の下に毎年「赤字国債」を発行し続けているわけですが、果たして日本国債は本当に安心して購入できるものなのでしょうか? 今回は「日本国債は危なくないのか!?」という話です。
日本国債を購入しようと思っている皆さんは、まず日本国債についてよく知るようにしてください。
まず、日本国債とひと口に言っても「通常国債」と呼ばれる生国債は個人では購入できません。政府が販売し買い手を募集する生国債は、入札の上、金融機関(証券会社も含みます)が購入するものです。これら生国債を購入した金融機関の中から個人向けに販売される仕組みになっています。
個人で購入できる国債は、下の2種類になります。
個人向け国債
満期:3年・5年・10年
購入単位:1万円
利回り:通常国債(生国債)より低い
利払い:半年ごとに年2回
解約:1年間は不可/1年超えてからの解約にもペナルティあり
新窓販国債
満期:2年・5年・10年
購入単位:5万円
利回り:通常国債とほぼ同程度とされる
利払い:半年ごとに年2回
解約:解約ではなく市場で売却する
「新窓販国債」は個人が生国債と同様のメリットを得られやすいようにと配慮された商品といえますが、2016年11月29日現在は購入者を募集していません。
というわけで「個人向け国債」ですが、下の三種類になります。国債の場合、金利の設定のされ方が特殊です。
変動金利型10年満期
金利は変動します。半年毎に実勢金利に応じて決定されます。
金利 = 基準金利 × 0.66
で計算します。最低金利は0.05%保証があり、これ未満に金利が下がることはありません。
固定金利型5年満期
金利は固定です。
金利 = 基準金利 - 0.05%
固定金利型3年満期
金利は固定です。
金利 = 基準金利 - 0.03%
ここで気になるのは「基準金利」ですね。
基準金利は下のように決められています。
●「変動10年」の基準金利
利子計算期間の開始日の前月までの最後に行われた、10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札価格を基に計算される複利利回り(小数点以下第3位を四捨五入し、0.01%刻み)の値です。
●「固定5年」の基準金利
募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の想定利回りの値です。
●「固定3年」の基準金利
「固定3年」の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間3年の固定利付国債の想定利回りの値です。
具体的にどのような値になっているかといいますと……、
平成28年11月25日の想定利回りは、
10年:0.039%
5年:-0.081%
3年:-0.118%
です。
これが基準金利になりますと、
「変動10年」の金利:0.05%
「固定5年」の金利:-0.13%
「固定3年」の金利:-0.17%
がそれぞれの国債の金利となります。この段階でまず「固定5年」「固定3年」の日本国債を購入する人はいませんね! では「変動10年」の個人向け国債は購入するに値するのでしょうか!?
答えは「No」です。
なぜかといいますと、まずこの金利の低さです。都市銀行の普通預金金利が「年0.01%」ですから、それなら「変動金利型10年満期」の日本国債の方がましなように思えるかもしれませんが、最低保障の「0.05%」であるなら他のもっと利率の高い投資対象を探した方が良いでしょう。
仮に、基準金利が上昇することになったとしても、
●基準金利3%の場合:3 × 0.66% = 1.98%
●基準金利5%の場合:5 × 0.66% = 3.3%
●基準金利7%の場合:7 × 0.66% = 4.62%
となります。そもそも基準金利が上昇する局面では、この金利の計算方法は購入者にとって不利に働くと考えなければなりません。ですから、現段階では個人向けの日本国債は購入することをお勧めできるとはいえないのです。
さらには日本政府の破綻リスクを考えなければなりません。日本人としてはあまりうれしい話ではありませんが、日本政府の破綻リスクが本当に巷間ささやかれているほど小さいとはとても思えないのが本当です。この日本政府の危険性については項を改めてご紹介することにしましょう。
(高橋モータース@dcp)