割安株をいち早く見つけるためには各種指標(INDEX)の見方を知らなければなりません。各種初心者向けの本を読むと、「自分の取り引きスタイルを見つけること」なんて書いてありますが、その自分のスタイルとは取りも直さず「自分が取り引きする際にどんなINDEXを重要視するか」でもあります。今回紹介するINDEXは「VR(ボリュームレシオ)」です。
VR(ボリュームレシオ)はVolume Ratioの略で、取り引きされた株式の量(ボリューム)、すなわち「出来高」に着目したINDEXです。
株式取引においては「出来高は株価に先行する」なんていわれます。出来高が大きくなると株価も大きく変わるわけです。出来高に着目することで売買のタイミングを測るための目安にできる、というのがVRの意義です。
VRの計算式は以下のようになります。一定期間内において、
VR = (株価が上昇した日の出来高 + 株価が変化しなかった日の出来高 ÷ 2) ÷ (株価が下落した日の出来高 + 株価が変化しなかった日の出来高 ÷2)
U:株価が上昇した日の出来高
D:株価が下落した日の出来高
N:株価が変化しなかった日の出来高
とすれば、
VR(パーセント) = (U + N ÷2) ÷ (D + N ÷2) × 100
となります(こういう書き方をしているサイトが多いでしょう)。これは正確には「VR1」と呼ばれるINDEXです。
「VR2」というINDEXもあって、
VR2(パーセント) = (株価が上昇した日の出来高 + 株価が変化しなかった日の出来高 ÷ 2) ÷ (その期間の出来高合計)
となります。U・N・Dという置き換えを行うなら、
VR2(パーセント) = (U + N ÷2) ÷ (D + N +U) × 100
です。式からも分かるとおり、
VR1は、「ある期間内で、株価が上昇あるいは変化しなかった日の出来高」が「同じ期間内で、株価が下落あるいは変化しなかった日の出来高」と比べてどのくらいの割合なのか、を計算しています。
VR2は、「ある期間内で、株価が上昇した日の出来高あるいは変化しなかった日の出来高」が「同じ期間内の全取引の出来高」と比べてどのくらいの割合なのか、を計算しています。
VR1・VR2の数値の特徴を見てみましょう。
VR1
株価が上昇している日の出来高が多いと「U」の値が大きくなって、相対的に「D」の値が小さくなります。Uの値がさらに大きい場合には分子の方が大きくなり、100%を超えることになります。その場合は、明らかに買われすぎということになります。
VR2
株価が上昇している日の出来高が多いと分子の値が大きくなります。上昇している日の出来高が大きくなればなるほどVR2の値は100に近づきます。ということは「買われすぎ」を示すことになるわけです。反対に、株価が上昇している日の出来高が少なければ少ないほど分子が小さくなりますから、VR2の値は「0」に近づくことになります。つまり、その場合は「売られすぎ」ということになりますね。
VR2は、その式を見れば分かるとおり「100%」を超えることはありません。100%に近づくほど買われすぎで、0%に近づくほど売られすぎ、と「VR2」の方が理解もしやすいのではないでしょうか。
買われすぎ ⇒ 売り時かも
売られすぎ ⇒ 買い時かも
という判断になり、「売られすぎな銘柄は割安株では?」というわけです。ただし、このVRは売買される株式数が多い銘柄について有効なINDEXという点を忘れないでください。出来高に注目したINDEXですので、そもそも総発行株式量が少なく、取り引きも突発的という銘柄ではその信頼性は落ちてしまうのです。つまり、いわゆる流動性の高い銘柄に対してより有効に働くINDEXなのです。
VR1・VR2を測る期間は「25日間」が一般的となっています。
何度も書いていますが、一つのINDEXにだけ頼るのは良くありません。この「VR」もまた他のINDEXと組み合わせて売買の判断材料とするようにしてください。
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(高橋モータース@dcp)