誰が大統領になってもバラマキが行われるとご紹介しましたが、当選した尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領がさっそく動き始めました。
そもそも政府与党『共に民主党』よりも、野党『国民の力』の方が主張していたバラマキの規模は大きかったのです。
『共に民主党』は「30~35兆ウォン」(約2.9~3.3兆円)で、『国民の力』は「50兆ウォン」(約4.8兆円)と叫んでいました。
焦点になっているのは、中小企業・小商工人・個人事業主に対する支援です。
借金棒引きに近い公約もある!
政府のコロナ対策によって、営業時間などが制限された小商工人・個人事業主への損失補てんが力点が置かれています。
先に現韓国政府が、小商工人・個人事業者320万人を対象に300万ウォン(約28.5万円)の防疫支援金を支給しました。まいたお金は9兆6000億ウォン(約9,120億円)です。
尹さんは、大統領候補の時に「大統領になったらすぐに既存の政府案(防疫支援金300万ウォン)とは別に600万ウォン(約57万円)を追加し、最大1,000万ウォン(約95万円)を支援する」と述べています。
また、「中小企業・小商工人・自営業者に対する既存の貸し出し金の満期を延長し、税金・公課金・賃貸料・人件費などに関する税制支援にも乗り出す」としました。
さらに「『少額債務元金を90%まで減免する』方式の緊急救済、債務調整」も公約に盛り込んでいます。これなど借金棒引きの「徳政令」に近いものです。
先にご紹介した「大統領職引き継ぎ委員会」は「コロナ危機対応TF(タスクフォース)」を立ち上げ、さっそく公約実現に動くとのこと。
赤字国債の出番です!
公約どおり600万ウォン(約57万円)を追加で支給すると19兆2,000億ウォン(約1兆8,240億円)かかります。
また、貸し出し金の満期延長は金融機関がかぶるのでいいとしても(全然良くありませんが)、「少額債務元金を90%まで減免する方は、債権を政府が買い取るしか金融機関を納得させることはできないでしょう。
これがいくらになるか分かりませんが(そのため「少額債務」と曖昧にしている)、その分の財源も必要になります。
前記のとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんおよび『国民の力』は、2022年の第一次補正予算を組むときに「50兆ウォン」(約4.8兆円)規模を呼号していました。
『共に民主党』も「30~35兆ウォン」(約2.9~3.3兆円)を主張していたのですが、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が矢面に立って「財政的に無理だから」と押しとどめて、「16兆9,000億ウォン」(約1.6兆円)にしたのです(政府案は14兆ウォンだったので膨らまされました)。
この第1次補正予算のために、韓国政府は「11兆3,000億ウォン」の赤字国債を発行しました。
仮に、尹錫悦(ユン・ソギョル)さんおよび『国民の力』が主張した「50兆ウォン」(約4.8兆円)を第2次補正予算で編成するとなると、そのほとんどを赤字国債で賄うことになるでしょう。
文在寅大統領の下で韓国政府は負債を異常なほど増加させました。韓国政府の負債は「1,075兆7,000億ウォン」まできています。
第2次補正予算によってさらにこの負債が膨らむことは必至です。
しかし、尹錫悦(ユン・ソギョル)さん陣営の経済担当顧問は「歳出調整で財源を確保できる」と強弁してきました。
どこかで聞いたような話です。日本でも「埋蔵金ガー」という話がありましたね。
さっそくですが、新大統領および「大統領職引き継ぎ委員会」のお手並み拝見です。見事な手腕を見せていただきましょう。
新政権になっても企画財政部は洪楠基(ホン・ナムギ)さんでいいような気もします(笑)。
(吉田ハンチング@dcp)