韓国「追い証地獄」再びか。デリバティブ投入資金が「2,799億」まで増えていた

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2020年03月、韓国の証券会社は絶体絶命の危機に瀕していました。

国民的財テク商品」といわれたデリバティブ(金融派生商品)「ELS」で大規模な損失が発生し、ドル建ての巨額なマージンコールが掛かって急速なドル不足に陥ったからです。

FXや株式の信用取引をする方はご存じでしょうが、マージンコールというのは日本語でいう「追い証」です。

「ELS」というのは、ものすごく簡単にいうと「期日になったとき、投資した金融商品の価格が設定した金額より上になるか下になるかを当てる」ものです。

こう書くと「それは丁半博打か、High&Lowゲームか何かなのか」といぶかしく思われるかもしれませんが、うまくハマると早期償還となってお金が増えて返ってくるという、韓国の皆さんの「早く、早く」という気持ちを反映するかのようなデリバティブなのです。

説明すると長くなりますので、どんな仕組みなのかはMoney1の過去記事を参照してください。

――で、2020年03月には韓国の証券会社はドル不足に陥ってまさにドボン寸前でした。

証券会社は巨額の追い証に対応するため、各種債券・企業手形(CP)などを発行し、短期金融市場の乱れを引き起こしました。証券会社がドル証拠金納入のために大規模にドルを買い入れ、ドル為替レートが急騰。

政府は韓国証券金融融資と『韓国銀行』の買い戻し条件債券(RP)買取を通じて支援に乗り出し、やっと流動性危機を克服しました。

世界的にもドル流動性が極端に損なわれた時期でしたが、韓国は独自の都合によっても危なかったのです。

これを救ったのが……。

2020年03月に『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)との間で600億ドル規模の臨時「ドル流動性スワップ」(韓国側呼称は「通貨スワップ」)が締結され、韓国は「助かったー」となりました。

全くナニやってんだ――です。

またやってる!

で、現在の2022年。

韓国株式市場が低迷していますが、アメリカ合衆国でも……まあ同様です。

こうなると、またELSが危ないのです。ELSの場合、3カ月あるいは6カ月ごとに判定日が来て、High&Lowで早期償還が決まるのですが、これにはノックインオプションが入っています。つまり、あらかじめ定めたライン(通常45~50%)より下がっていたらそこでドボン確定なのです。

株式指数が下がっていますので、ドボン確定もあり得ます。

2022年上半期のデリバティブ規模は「2,799億ウォン」。2021年末はわずか「136億ウォン」だったのに、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはまさにこのことで、半年で20倍まで膨らみました。

2,799億ウォンのうち、36.1%に当たる「1,012億ウォン」が2022年末で償還期日を迎えます。

さあ大丈夫なのか、です。

(先のドボン騒動に懲りて十分手は打ってあるとのことで)証券会社は追い証地獄にならなくても、投資した皆さんがノックインでドボン、阿鼻叫喚の地獄絵図というのは十分にあり得ます。

年末までまだ2カ月余りありますが、ご注目ください。「一度目は悲劇、二度目は喜劇」という言葉もあります。

(吉田ハンチング@dcp)

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