「韓国は米国に“先端技術の共有”を堂々と要求すべき」

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2023年04月26日、アメリカ合衆国・バイデン大統領と韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領との首脳会談が合衆国で行われます。

韓国は、合衆国大統領や要人との会談が近づくと、必ずメディアから「首脳会談を機会にアレももらえ、コレももらえ」という記事が出ます。

2022年には、バイデン大統領、イエレン財務省長官が訪韓するたびに「米韓通貨スワップの締結だ」の大合唱でした。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がペロシ下院議長に会わなかったら会わないで「通貨スワップ締結の機会を失った」などと言い出す始末。

さもしい」というのは、こういう態度を形容するために使う言葉です。

間もなく米韓首脳会談ですので、またぞろ韓国メディアに「アレもくれコレもくれ」な記事が出始めています。現時点で最高傑作なのは、『中央日報』のソ・ギョンホ論説委員が書いた記事ではないでしょうか。

お金を集めて体力が強化された合衆国に「先端技術共有」を要求せよ」というタイトルです。

大変に長い記事なのですが、簡単に要約すれば――、

「インフレ削減法」(IRA)によって合衆国は企業から大きな投資を引き出した。それには韓国企業も参加している。

金額は2,040億ドルにもなる

巨額投資を得て、合衆国の力はさらに増すことが予想される

だから、韓国は堂々と合衆国に「先端技術の共有」を要求すべき

――です。

この記事の白眉は、記事終盤にでてくる「合衆国に対しても毅然と対峙する国がある」と主張する部分で、要は韓国もかくあるべき――と述べているのです。

堂々と合衆国に「くれ」と要求していいんだ――と理論付け(?)ようとしているわけですが、いかに浅薄な論建てになっているかをご紹介するため、以下に引いてみます。

(前略)
英国の『エコノミスト誌』が、最新号のカバーストーリー「超大国の間で生き残る」で、超大国の間でどちらの味方もせず、両側と取引するように(transactional)実用的に中立を守る大国25カ国を「T25」と名付けた。

ロシア制裁に加わった親欧米でも、ロシアを支持する国でもないグループ、また、合衆国と中国の対決で中立を守る国々だ。

メキシコ・イスラエル・トルコ・ベトナム・タイ・エジプト・南アフリカ・フィリピン・チリ・ナイジェリア・ブラジル・シンガポール・インド・パキスタン・インドネシア・マレーシア・アルゼンチン・サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)などがT25だ。

「どちらの味方にもなりたくない狡猾な(crafty)国を分析する」という副題がついたこの記事は、米中戦略競争の狭間に挟まれている私たちも参考に値する。

T25は、グローバルミドルパワーとして位置づけられている。

人口大国インドから小国カタールまで、T25は国富や政治システムは異なるが、非常に実用的で力のある集団として浮上している。

世界人口の45%を占め、世界GDPに占める割合は、1992年の11%から2023年には欧州連合(EU)よりも多い18%に拡大した。
(後略)

⇒参照・引用元:『中央日報』「돈 몰리고 체력 강해진 미국에 “첨단기술 공유” 요구를」

記事内に出てくる『Economist』の記事というのは、以下のURLで読めます(ただし有料記事)。「How to survive a superpower split」(スーパーパワーのはざまでどうやって生き延びるか)というタイトルです。

⇒参照・引用元:『The Economist』「How to survive a superpower split」

サブタイトルは「We analyse the crafty countries that don’t want to pick sides」(どちらかを選びたくない狡猾な国を分析する)です。

『中央日報』記事の書き手、ソ・ギョンホ論説委員は、米中の間で小突き回されている韓国がT25のようになれる、と主張しているようです。

しかし、そんなことは不可能です。

この記事で「T25」と呼んでいるのは以下の国々です。

<<T25>>
メキシコ
モロッコ
アルジェリア
イスラエル
トルコ
ベトナム
カタール
バングラデシュ
コロンビア
ペルー
エジプト
タイ
南アフリカ
フィリピン
チリ
ナイジェリア
ブラジル
シンガポール
インド

ソ・ギョンホ論説委員はブラジルとインドを挙げて以下のように書いています。

(前略)
ブラジル大統領は、気候変動に関してはジョー・バイデン大統領、合衆国を同盟国とみなしている。

昨年2月のワシントン訪問時には、前任者のボウソナロ前大統領が禁止していた合衆国との共同環境機構を再設立した。

合衆国はブラジルを重要な非NATO同盟国として扱っている。

一方、西側が要求するウクライナへの武器提供を他の南米諸国と共に拒否し、今月14日に中国を訪問して絆を誇示した。

(中略)

インド・太平洋安全保障フォーラムであるクワッドの一員である日本首相がインドを訪問した。

記念碑的な外交という評価が出た。

2021~22年度、インドの対米貿易は対中貿易を上回った。厄介な中国の代わりに親西洋路線を続けた影響だ。一方、武器と原油はロシア産を使う。
(後略)

韓国もかくあるべき、みたいな書きようですが、ブラジルは世界有数の農産物の輸出国であり、米中共にその恩恵を受けていますからブラジルを軽く扱うことなどできません。インドは次期経済大国と目されており、米中はどちらも軽く扱えません。なにより核保有国です。

また、上掲のとおり「小国カタール」なんて書いていますが、カタールは何より重要な天然ガス輸出国です。

シンガポールは世界の金融ハブですし、トルコはEUの準加盟国です。イスラエルは世界最強ともいわれる戦闘国家、なにより合衆国に大きな影響力を持ちます。

ベトナムは米中両方と戦争して勝った国で、米中どちらと対峙しても怯みません。南アフリカやナイジェリアはアフリカにあって、そもそもが米中対立の焦点からは地理的に遠い国です。

このようにそれぞれの国を見ると、米中対立の間で狡猾に立ち回れるだけの「根拠」がある国ばかりです。当然の話で、何も根拠がなければそんなことはできません。

さて、韓国には何があるのでしょうか。さもしい要求を貫徹できるだけの根拠をお持ちでしょうか?

(吉田ハンチング@dcp)

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