中国「広東省」で私有財産接収を適法に 共産主義の看板に偽りなし!

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新型コロナウイルスが猛威を振るい、中国の政治経済が大騒動となっています。事態の収拾にはまだまだ時間がかかることが予想されます。

そんな中、新型肺炎患者が中国で2番目に多く抱える広東省では、02月11日、広東省人民代表会議・常任委員会が緊急会議を開催。

「緊急防疫体制の必要に応じて、家屋・施設・資材などの財産を要求できる」という内容を含む「広州市人民代表大会常任委員会の決議」を採択し、即日発効となりました。

以下は『广州人大』(広州人民代表会議)が公表したその決議(原文は記事末の引用元urlをご覧ください)、その前段部分を引用しました(日本語訳は筆者(バカ)による)。

为了深入贯彻落实习近平总书记关于疫情防控工作的重要讲话和重要指示精神,按照中央的决策部署和省委、市委的部署要求,把人民群众生命安全和身体健康放在第一位,落实最严格的措施,全力以赴做好新冠肺炎疫情防控工作,坚决打赢疫情防控的人民战争、总体战、阻击战,根据《中华人民共和国传染病防治法》《中华人民共和国突发事件应对法》《突发公共卫生事件应急条例》《中华人民共和国野生动物保护法》《中华人民共和国动物防疫法》等法律法规,结合本市实际情况,作如下决定:

習近平書記の重要な講話・命令に「徹底的防疫と制御」とあるが、この精神中央の意思決定を基に、地方自治体、地方自治体の各地域、発生が確認された場所で、人々の生活の安全と健康のために厳格な対策を講じる。新型肺炎の流行の防止と制御に全力を尽くし、この人民戦争に断固として勝ち抜きます。

「中華人民共和国伝染病防止法」「中華人民共和国緊急対応法」「公衆衛生上の緊急事態に関する緊急規制」「中華人民共和国野生動物保護法」「中華人民共和国動物防疫法」などの法律・法規を根拠とし、広州市の状況を鑑みて以下の決定を下す。

強調文字は筆者による

ネットでは「なんでもかんでも政府の意のままに没収可能」のように喧伝されていますが、実はそうではありません。
中国の名誉のために一応フォローしておきますと、依拠する法律を明示しており、ただし新型肺炎の感染拡大状況を見ながら、今回の決断で「人民の私的権利に制限を加える」ことがあり得る、としています。

喧伝されているのは、以下の4番目の条項のためでしょう。

四、市、区人民政府可以在必要时依法向单位或者个人临时征用疫情防控所需的房屋、场地、交通工具以及相关设施、设备,要求相关企业组织相应的疫情防控物资和生活必需品的生产、供给。临时征用房屋、场地、交通工具以及相关设施、设备的,应当向被征用的单位或者个人发出应急处置征用令并做好登记造册工作,并依法予以补偿,能返还的,应当及时返还。

4.自治体および地方政府は、法律に従い、必要に応じて個人、家、会場、車両、および関連施設と機器を一時的に要求することがある、また、関連する企業に「流行の予防に対応するための部材や日用品」の生産を行うよう要求することがある。

住宅、サイト、車両、および関連する施設および機器を供出するよう、一時的な要求を受けた組織または個人には、緊急廃棄要求命令を発行し、登録作業を行い、法律に従って補償を行います。返還できる場合は、期限内に返還する必要があります。

「個人、家、会場、車両、および関連施設と機器を要求する」となっており、要求というとまだマイルドな感じを受けますが、それが出された場合には事実上の「供出命令」ですね。恐らく拒否はできないでしょう。

日本企業が気を付けなければならないのは、「防疫のためにアレを作ってくれ」「コレを工場で作れ」などという無茶な「要求」が出される可能性がゼロではない点です。上掲の文面からすれば、工場などのファシリティーを無理に転用させられる可能性がなくはないのです。

また供出を行った者については登録作業を行って、「期限が過ぎたら返還できるものは返還」し、「(返還できない場合には)保障を行う」となっています。

しかし、この採択された決議文では、

终止日期由广州市人民代表大会常务委员会
終了日は別途、広州市人民代表大会常任委員会によって発表される

となっており、いつまでこの決議文に効力があるのかは現段階では不明です。もちろんいつ新型肺炎が終息するかは誰にも分からないので、こうしておかないと仕方がないのですが。

また保障についても、どのような基準で保障が行われるのかについては一応「法律に従って」とされていますが、どの法律を適用するのかについては明示されていません。後出しジャンケン的に法が制定され、政府の都合の良いようにされる可能性は否定できません。

共産主義の看板に偽りなし!

共産主義は、そもそも財「」を「」有する思想なわけで、だからこそ「共産」という看板を掲げています。

ですから、共産党政府(広東省地方政府ですが)の姿勢は「看板に偽りなし」といえます。しかし、さすがの共産党独裁による中国でも財産を没収されて喜ぶ人はいません。中国本土でもこの決議を不安視する人は多いとのこと。

台湾では「法的強盗」などの見出しもあり、反中意識の高いメディアでは同決議を特に問題視しています。

中国では、かつて文化大革命で徹底的な収奪と破壊が行われました。その経験が同決議文に対する嫌悪感を駆り立てているのかもしれませんね。

⇒参照・引用元:『广州人大』「广州市人民代表大会常务委员会关于依法全力做好新冠肺炎疫情防控工作的决定」
http://www.rd.gz.cn/zxtz/content/post_90129.html

(柏ケミカル@dcp)

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