中国で鉄鋼会社が大変な苦境に陥っています。最大の国内需要である不動産・建設業界が壊滅的な状況に陥ったためです。
上掲記事でもご紹介しましたが、中国の国内需要は粗鋼消費量8億トンしかないのに、中国の鉄鋼企業の粗鋼生産能力は10億トンもあるのです。
どうなるかというと――安値の叩き合いで価格はさらに安くなり、その過剰供給が海外に輸出されているのです。
外国からすればたまったものではありません。
この中国の過剰生産性によって大打撃を受けているのが、まさに韓国の鉄鋼業です。
例えば韓国最大手の製鉄会社『POSCO(ポスコ)』は、韓国内に流入、また外国で競合する中国企業の製品に圧迫され続けています。
上掲は『POSCOホールディングス』の2024年第3四半期の連結損益計算書ですが、営業利益は対前年同期比で「35.6%」も減少しました(2024年第4四半期の結果はまだ出ていません)。
また、Money1でもご紹介したとおり、『POSCOホールディングス』は1997年に中国に設立した『張家港浦項不銹鋼』(PZSS)の売却を決定しています。
売却しなければならないのは、もちろん業績が傾いているからです。
最大手の鉄鋼メーカーが傾いているので、他の鉄鋼企業も全く良くありません。
工場の稼働率を下げる韓国鉄筋メーカー
韓国Topの鉄筋メーカー『現代製鉄』は、2025年01月末まで仁川と浦項の鉄筋工場の稼働を停止する動きに入っています。09~31日まで、仁川工場の2つのラインの稼働を順次停止。22~31日までは浦項鉄筋工場の稼働を中断する予定です。
さらに鉄筋メーカー第2位の『東国製鋼』は、2025年01月16日、01月24~31日までの8日間、仁川の鉄筋工場での生産および出荷を一時的に中断する――と発表しました。
実は、同社は既に2024年06月から夜間のみ製品を生産する夜間操業体制に移行しており、設備稼働率を平均60%台に維持する減産措置を取ってきました。
しかし、それでも減産体制が追いつかず(供給が多いので)、工場稼働を一時的に完全停止することを決定したのです。韓国メディアの報道によると、『東国製鋼』の関係者は「設備稼働率を50%に縮小して市場に対応する計画」と述べた――とのこと。
中国と同じで鉄筋の需要が回復せず、鉄鋼関連企業は工場を止めないと仕方がない状況になっています。
――というわけで、韓国の鉄鋼企業は危ないです。
中国政府はどこの企業が飛ぼうが知ったことではないでしょうが、韓国政府はそうはいかないでしょう。このままの状況で推移し、大手が飛びそうになったら資金を投入するしかなくなると思われます。
(吉田ハンチング@dcp)