「劉遵義の法則」とは?
「劉遵義の法則」はその国で通貨危機が起こる条件について述べたものです。経済評論家として活躍しておられる三橋貴明先生は、著書『本当はヤバイ!韓国経済』の中で、以下のように紹介していらっしゃいます。
劉遵義の法則というものがある。
1997年のアジア通貨危機を、計量経済モデルで予見した論文を95年時点で発表した香港中文大学の劉遵義学長が、通貨危機について述べたものだ。
それは、
「外貨準備高 < 外国人保有株券と債券高 + 短期外貨建て融資高 + 6カ月分輸入高」、になるとその国で通貨危機が起きる、というものだ。 ⇒引用元:『本当はヤバイ!韓国経済 ―迫り来る通貨危機再来の恐怖―』(彩図社,2007年)pp120-121
三橋先生は同書の中でこの法則を引いて、すでに韓国は「外貨準備高 < 外国人保有株券と債券高 + 短期外貨建て融資高 + 6カ月分輸入高」を満たしている、と述べられました。 同書は2007年に刊行されましたが、2008-2009年には(リーマンショックを引き金とする)通貨危機が韓国を襲ったのです。三橋先生の指摘は大当たり!だったわけです。
韓国はすでに法則に当てはまっている!
ではこの法則に照らして、韓国の現況はどうなっているでしょうか?
まず「外国人保有株券と債券高」ですが、『中央日報(日本語版)』が2019年09月10日に以下のような報道をしています。
外国投資家の韓国債券保有額が125兆ウォン(約11兆円)を超え過去最大記録を更新した。
金融監督院は9日、先月末基準で外国人の韓国上場債券保有額が125兆9030億ウォンに達し、6月の124兆5400億ウォンから2カ月ぶりに過去最大を塗り替えたと発表した。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「外国人の債券保有額125兆ウォン…過去最大を更新=韓国」
https://s.japanese.joins.com/JArticle/257457?sectcode=300&servcode=300
「125.9兆ウォン」は「1ドル=1,188ウォン」で計算すると「約1,060億ドル」になります。報道は2019年09月10日で、数字は2019年08月のものですが、とりあえずこれを使います。
次に「短期外貨建て融資高」ですが、これは短期外債(External Debt:Short-Term)のこと。2019年12月時点で韓国の短期外債は1,344.9億ドルです。
⇒参照・引用元:『CEIC』「韓国 短期対外債務」
https://www.ceicdata.com/en/indicator/korea/external-debt-short-term
最後に「6カ月分輸入高」ですが『ECOS』でデータを当たってみると、2019年07-12月の6カ月間で輸入高(「Imports of goods」を使いました)は計「2,436.1億ドル」です。
⇒参照・引用元:『ECOS』
http://ecos.bok.or.kr/flex/EasySearch_e.jsp
外国人保有株券と債券高:約1,060億ドル
短期外貨建て融資高(短期外債):約1,345億ドル
6カ月分輸入高:約2,436億ドル
小計:約4,841億ドル
韓国の外貨準備高は2020年02月時点で「約4,092億ドル」ですから、
4,092億ドル < 1,060億ドル + 1,345億ドル + 2,436億ドル(計4,841億ドル)
となり、
外貨準備高 < 外国人保有株券と債券高 + 短期外貨建て融資高 + 6カ月分輸入高
を満たしていることになります。
筆者は経済学者ではありませんので、「劉遵義の法則」にどこまで妥当性があるのか分かりません。しかし、もしこの法則が正しいのでれば、韓国はいつまた通貨危機に見舞われてもおかしくないことになります。
「気付いたときにはいつも遅すぎるのさ。だがその罪は罰せられるべきだ。違うか」
(ある部隊指揮官の述懐)
(柏ケミカル@dcp)