韓国「香港ELSの元本保証しろ」裁判の判決出た! 資産2.8億 ⇒ 1.5億の半減で訴訟になり……

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2025年10月01日、韓国の金融業界がほっと胸をなで下ろす判決が出ました。

ELSに投資して損をした投資家が賠償しろと起こした訴訟についてです。

韓国を揺るがした「ELSに投資して大損問題」

Money1でもご紹介したことがありますが、韓国の投資家が香港のELSにお金を突っ込んで元本まで失う危機に陥った――ことがありました。

正確にいえば香港ハンセン市場の「CEI」(Hang Seng China Enterprise index)に連動したELSです。

このELS(Equity-Linked Securityの略:株価連携証券)はかつて韓国の「国民的財テク商品」といわれたことがあるデリバティブの一種です。

簡単にいうと、指定された銘柄がある期間内に「基準値」を超えるかどうかに資金を張る、いわば「ハイ&ロー」ゲームみたいなものです。

株価が上昇している局面では資金を投じているだけで、簡単にもうかるのですが、下落局面になると、とたんに損をし、元本まで全て吹き飛ぶ可能性がある――というものでした。

香港ELSが陥ったのはまさにこれで――以下の(当時の)チャートをご覧ください。

「ハンセン中国企業指数」は半値未満になっているのです。いかな韓国のELSでもこんな低位のブウを切ってはいません。つまり、このような値のまま満期を迎えると、(ブウの切り方によっては)張った皆さんの元本は全部吹き飛ぶ可能性があったわけです。

――で、韓国にありがちな話ですが、「元本が吹き飛ぶとか聞いてなかった。謝罪と賠償を要求する」となりました。


↑ソウル市金融監督院前でデモを行う「被害者」と称する皆さん。

「投資」というのは事故責任であって、元本保証なんてものはありません。


↑投資で損をしたのを「被害者」と自称し、散髪活動に勤しむ皆さん。

――ところが、大衆におもねるのが韓国の常。そこには常識とか法治はありません。

投資家からの非難の声が大きくなると、当時の金融監督院の院長が「損賠賠償すべし」と言い出しました。ばかなんじゃねーのか――です。


↑金融監督院の李卜鉉(イ・ボクヒョン)院長はボンクラでした。投資の損失についてELSを販売した金融機関に圧力をかけ、損失補填を主導しました。

――で、被害者と称する一部の投資家は、ELSを販売した金融機関を相手に訴訟を起こしました。

資産の半分が吹き飛ぶ結果にすぐ訴訟!

訴訟を起こしたAさんは、2021年02月、『国民銀行』のある支店で、証券会社B社が発売したELSを購入しました。

このELSは香港H株指数、合衆国S&P500指数、欧州ユーロストックス50指数を基礎資産としたデリバティブ商品でした。

投資期間は3年、発売当時の期待収益率は約5%。ただし、基礎資産のうち1つでも満期時に価値が加入時の70%未満に落ちれば損失が出るようにされていたのです。

損失範囲は元本の30〜100%。つまり、元本がすっかり吹き飛ぶ可能性があるようにブウが切られていたのです。

どうなったかというと――香港H株指数の暴落で投資元本2億8,000万ウォンのうち約1億5,000万ウォンが吹き飛びました。

46.4%が蒸発したので、資産はほぼ半額になったのです。

気持ちは分からないでもないですが、Aさんはすぐに『国民銀行』のせいだ――として訴訟に突入。

Aさんは、

国民銀行が私を攻撃型投資家と分析し、投資リスクを適切に知らせなかった

と主張しました。対する『国民銀行』は、

投資家分析は適切であり、元本損失リスクも確実に知らせた

――と反論しました。

裁判所は『国民銀行』側の手を上げる! 当然だ!

――で、裁判の結果は『国民銀行』側の勝ち――でした。

傑作なのは、「被害者だ」と主張したAさんは、2013年から今回の事件と似た構造のELSやETF(上場投資信託)などに数回投資した事実が裁判過程で明らかになったことです。

Aさんは、これらの投資で何度も損失を経験していました。

今回のELS加入時、銀行窓口で「攻撃投資型」と分析した内容にも同意して署名していました。

しかも、署名した商品説明書の一番上には「元本損失の可能性があります」と警告する文句が大きな赤文字で記載されていたのです。

裁判所が『国民銀行』の手を上げたのは当然といえます。

判事は「AさんがELSの投資リスクを知らなかったとは見なし難い」と結論を下しました。

韓国の金融業界が安堵したのも当然です。

もし、このような裁判で投資家におもねった「Aさん勝訴」なんていう判決が出ようものなら、韓国は「投資の元本保証を行う国だ」と世界的に「おかしな国だ」と認識されたことでしょう。

ただし、これは第一審の判決です。

投資家の損を補填すべきなどという金融監督院院長が出る国ですから、油断はできません。

(吉田ハンチング@dcp)

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