「だからデフレだってば」――な中国ですが消費の様子を見てみましょう。
2026年09月15日、中国の国家統計局が「2026年1—8月份社会消费品零售总额增长1.1%(2026年01~08月の社会消費品小売総額は1.1%増加)」のデータを公表しました。
「社会消费品零售总额」というのは、日本語で意味を分かりやすくいえば、概ね「社会全体の消費財・飲食サービスの小売売上高」に相当する指標になります。
2026年01~08月の社会消費品小売総額は1.1%増加
2026年09月15日 10:00出典:国家統計局
01~08月の社会消費品小売総額は32兆7,569億元で、前年同期比1.1%増加した。このうち、自動車を除く消費品小売額は30兆1,764億元で、2.7%増加した。
08月の社会消費品小売総額は3兆9,824億元で、前年同月比0.4%増加した。このうち、自動車を除く消費品小売額は3兆6,545億元で、2.5%増加した。
経営事業者の所在地別に見ると、01~08月の都市部の消費品小売額は28兆3,743億元で、前年同期比1.0%増加した。
農村部の消費品小売額は4兆3,826億元で、2.3%増加した。
08月の都市部の消費品小売額は3兆4,457億元で、前年同月比0.2%増加した。農村部の消費品小売額は5,367億元で、1.6%増加した。
消費形態別に見ると、01~08月の商品小売額は29兆203億元で、前年同期比1.0%増加した。
飲食収入は3兆7,366億元で、2.4%増加した。8月の商品小売額は3兆5,280億元で、前年同月比0.3%増加した。飲食収入は4,544億元で、1.1%増加した。
上掲のとおり、国家統計局は「社会消費品小売総額は、前年同期比1.1%増加」と書いていますが、まず「こんなに低くて大丈夫なの?」です。
社会消費品小売総額
01~08月:前年同期比 +1.1%
08月単月:前年同月比 +0.4%
08月前月比(季節調整済み):-0.13%
つまり、累計でわずか1.1%増しかないうえ、直近になるほど弱くなっています。
07月の前年比+0.6%から8月は+0.4%へさらに減速しました。しかも08月は前月比ではマイナスです。
特に問題なのは「生産と消費の乖離」です
同じ08月について国家統計局のデータを見ると、「一定規模以上工業企業の付加価値生産額は前年比+5.2%」となっているのです。しかし、小売売上高は「+0.4%」。
つまり、
工業生産:+5.2%
消費:+0.4%
――です。
これは中国経済の現在のアンバランスを非常によく表しています。
工場ではかなりモノを作っており、AI関連、設備製造、ハイテク製造などは強いのです。しかし、中国国内の家計がそれに見合う勢いでモノを買っていません。
しかも輸出がこのギャップをある程度吸収しています。輸出が吸収しているのにこれ?――です。
要するに、現在の中国は、製造業と輸出が成長を支える一方、家計消費と不動産の低迷が国内需要を圧迫する構図に陥っているのです。
さらに面白いのは、中国国家統計局自身が「消費市場は安定的に推移」と説明していることです。
にもかかわらず、国家統計局が公表している数字を並べると、
消費品小売:+1.1%
固定資産投資:-7.2%
民間投資:-10.1%
不動産投資:-19.9%
――です。一方で工業生産は+5.2%です。
「生産能力が足りない経済」ではなく、「作る力に対して国内の買う力が弱すぎる経済」になっていると見なければなりません。
こうなると中国企業は輸出を増やすか、国内で価格を下げてシェアを奪い合うことになります――実際にもうそうなっています。
先にご紹介した中国の電気自動車メーカー『BYD』もまさにその例です。

国内での価格競争が熾烈極まることになっており、かつ電気自動車が売れないので、過剰生産性を輸出に全振りするしかないわけです。
その余波を食らった韓国市場が『BYD』と中国産『テスラ』によって食い荒らされているというのは、傑作な事態といえるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)





