「でもIPO銘柄で実際に儲けている人もいるじゃないか」というご意見もあるでしょう。確かにそうです。先の記事で紹介した「宝くじを買うのに似ている」という指摘は、あくまでも長期投資の視点にたつと……という話です。IPO銘柄でもできるだけ高確率で勝つ方法はあります。それは、公募価格で購入して、値上がりしたらさっさと売ることです。
■IPO銘柄の「公募価格」とは?
新規に企業がIPOをかけるときには、その新規発行株を扱う証券会社を決めます。1社だけとは限りません。例えば、新規公開株の発行数が10万株だったとします。
A証券会社:5万株
B証券会社:3万株
C証券会社:2万株
といったように振り分けることも珍しくありません。最も取り扱い量の多い会社が「主幹事」と呼ばれます。この例の場合、A証券会社がそうですね。
で、まず「公募価格」が決められます。「公募価格」というのは、市場に出る前の価格で、抽選に当たると、その価格で株式を購入できるのです。取り扱い証券会社では、口座を持っている投資家に向けて、「○○社がIPOをかけるので、新規株を発行します。公募価格は○○円で……」といったアナウンスを行い、購入を呼びかけます。
ただし、割り当ての発行株数が決まっているので、購入したい人が多い場合は抽選になります。近年は「IPO株は市場に登場すると高騰する」と目されているので、多くの投資家がIPO株の購入に応募します。業績が良い、その業種が注目されている、といった理由で人気が高い企業の場合、抽選の倍率は高くなってしまいます。IPO株を狙うのであれば、公開のタイミングごとに複数の証券会社の抽選に応募することが必要です。
■さっと売って逃げるのが良い!?
ジェレミーのバックテストが示唆するところによれば、IPO株は長期投資には向きません。もちろん全ての銘柄がそうではないですが、生き残って利益を上げ続けることが可能かどうかは分からないのです。
IPO株は高騰することが多い、なんていわれますが、それは一瞬のことかもしれないのです。ですから運良く購入できても、高騰している、あるいは高騰したタイミングでさっと利益を確定して逃げちゃうのが最善の方法ではないでしょうか。IPO株の抽選に当たると、それができる確率が高いので、多くの投資家がIPO株を買いたがるのです。
IPOをかけたものの、株式が市場で高く評価されず、初値が公募価格を下回る、なんてこともあります。これがいわゆる「公募価格割れ」です。上場した企業も格好悪いですが、何よりも主幹事が恥をかきます。IPOは、その株を扱う証券会社の手腕が試されるイベントでもあるのです。
(柏ケミカル@dcp)