日本の輸出管理強化に対抗して、韓国では「日本から輸入していた生産材の国産化に邁進している」ことになっています。
また、すでにその成果は現れている!などと喧伝し、韓国メディア『中央日報』には「韓国の日本経済追撃の現住所…55年で『鵜(う)飼い』から脱する」といった記事まで出ています。
「鵜飼い」の意味するところは、日本は韓国を鵜のように使い利益を享受している、ということです。
つまり、輸出商品を製造するのに必須の高度な工作機械や素材などは日本製を使うしかなく、韓国が商品を輸出して稼げば稼ぐほど、利益も日本に入るというわけです。
日本企業は大変賢い戦略を取っているといえますし、別にだからといって恨まれるスジアイはありません。
「鵜飼い」という表現はあまり良くないかもしれませんが、商売というのはそういうもので、川上を抑えればそれだけ利益も上がるのです。
『中央日報』の同記事には以下のようにあります。
(前略)獲った魚を吐き出さなければいけない鵜飼いの鵜のように、韓国はいくら輸出しても日本に素材・部品・装備を依存する限り「鵜」の状況から抜け出せなかった。
小室氏(社会学者・評論家の小室直樹氏のこと:筆者注)が伝えたように1965年の韓日国交正常化から昨年までの55年間に累積した対日貿易赤字は6,237億ドル(約730兆ウォン)にのぼる。
(後略)
⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「韓国の日本経済追撃の現住所…55年で『鵜飼い』から脱する」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
そして、韓国から見て「輸出金額-輸入金額」(つまり対日赤字の金額)が2019年に急激に減少したとして、以下のように書いています。
重要な変化は、韓国が日本の素材・部品・装備に依存しなくても産業にはいかなるパニックも発生しなかったという事実だ。見方によっては、韓国が日本経済の陰から抜け出しただけでなく、実質的な自立を達成したという点を示唆する。
さあ果たして本当に「自立」を果たしているのでしょうか。
以下のグラフは、1988-2019年の日本への輸出、日本からの輸入、「『輸出 – 輸入』の赤字金額」をプロットしたものです。
⇒参照・データ引用元:『日本国財務省』「輸出入額の推移(地域(国)別・主要商品別)」
https://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/time.htm
※グラフは『日本国財務省』のデータを基に筆者(バカ)作成
上掲のとおり、韓国は日本に対して貿易では赤字を続けています。一度も黒字になったことはありません。
これを「日本依存」とするなら、韓国はずっと日本依存を続けきたのです。
確かに直近では対日貿易赤字は減っています。しかしいまだに「約1.8兆円」もの赤字(2019年)を出しています。減ったとはいえ、これは2012-2014年の平均値とほぼ同じ程度の赤字です。
残念ながら「鵜」であることは変わっていないといえます。「自立」なんて言葉は、少なくとも年次の対日赤字が解消されてからおっしゃるべきではないでしょうか。
※筆者(バカ)の計算が正しければ、「1988-2019年の32年間だけで累積赤字は54兆6,968億円(約5,120億ドル)」になります。ドル円レートは2020年05月14日の「106.83円」。
(柏ケミカル@dcp)