ここのところ韓国メディアに「韓国版ニューディール」という言葉が踊るようになっています。
1929年の大恐慌を克服しようとして推進されたフランクリン・ルーズベルト大統領の「ニューディール政策」になぞらえているわけですが、これは文在寅大統領の肝いりのプロジェクトです。
新型コロナウイルス騒動による不景気を脱出するための、新たな雇用を創出するための政策と位置づけられています。
「総計76兆ウォンを突っ込む!」という勇ましさ
2020年06月03日の大統領府からの説明によると、
31兆3,000億ウォン(2兆8,483億円※)を投じて55万人の雇用を創出する
としています。
すでに第三次補正予算「35兆3,000億ウォン」の中にこの計画用の予算5兆1,000億ウォンが盛り込まれています。
この計画全体では、
2020年:5兆1,000億ウォン(4,641億円)
2021-2022年:26兆2,000億ウォン(2兆3,842億円)
2023-2024年:45兆ウォン(4兆950億円)
小計:76兆3,000億ウォン(6兆6,433億円)
の投資が行われるとのこと。
まず2020年中の投資先は以下の2つのジャンルとしています。
①デジタルニューディール
⇒13兆4,000億ウォン(1兆2,194億円)
5Gインフラの拡充、クラウド、AIなどの分野②グリーンニューディール
⇒12兆9,000億ウォン(1兆1,739億ウォン)
公共施設のゼロエネルギー化、スマートグリーン都市造成など
これに以下が加わります。
③雇用のセーフティーネットの基盤強化
⇒5兆ウォン(4,550億円)
基盤強化業で9万2,000人の雇用を作る
①②③の合計で予算規模「31兆3,000億ウォン」。
「どこにそんなお金があるのか」は議論しないのか
大変に勇ましく、夢のある計画かもしれませんが、例によって財源をどうするのかについては一言もありません。
この新型コロナウイルス騒動による経済的危機を乗り切るために、韓国政府は不相応と考えられるほど巨額の補正予算を組んでいます。
どこからお金を持ってくるかというと、赤字国債発行などの借金です。
第三次補正予算「35兆3,000億ウォン」のうち、23億8,000億ウォンは赤字国債で賄うつもりなのです。
しかも、この赤字国債の大部分を「『韓国銀行』が買ってくれるよね!」みたいな態度を政府高官がとっています。
「財政ファイナンス」を勧める非常にアカン話だということは先にご紹介しました。「せめて、そういう話はウラで。報道されないところでやってくれよ」でした。
第三次補正予算に組んでしまった(「やっちゃった」ものは仕方がないので)「5兆1,000億ウォン」は除くとして、2021-2022年に使う「26兆2,000億ウォン」と2023-2024年に使う「45兆ウォン」はどこから持ってくるつもりなのでしょうか。
全部「赤字国債」の発行で賄うのでしょうか。
大統領は夢を語るもので、実務は別と考えているのかもしれません。文在寅さんは本当に「借金大統領」として歴史に名を残すのでは。
※円への換算は2020年06月06日の「1ウォン=0.091円」を使用。
(柏ケミカル@dcp)