韓国政府の負債の話です。負債の伸びが尋常なスピードではないので、韓国メディアのみならず、研究者、シンクタンクも注目しています。
その国の負債を考える際には、政府・企業・家計の三部門について見ますが、その中でも政府負債は「D1」「D2」「D3」に分けて考えます。
至極簡単にいえば、
D2:D1に非営利公共機関の負債を足したもの
D3:D2に非金融公企業の負債を足したもの
となっています。
国際間で政府負債を比較する際には普通は「D2」を使います。韓国でよく「韓国政府の負債は低い方だ」といわれるのは、このD2を使っての比較です。
実際、『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)では、D2の対GDP比(D2/GDPで求めます)を比較しており、2019年時点では、
韓国:42.2%
OECD加盟国平均:80.9%
となっていました。そのため韓国政府は「まだまだいける!」と2020年に借金を増大させたわけです。
しかし、韓国が参照している「OECD平均」はさまざまな国の単純平均です。これは、韓国メディアでも指摘されていますが、ハードカレンシーを持つ国と持たない国を一緒に考えることはできません。
「ハードカレンシーを持つ国」は国際決済に自国通貨を使える国ですので、信用が高く、そう簡単にドボンにはなりません。またそのため債務比率が高くなっても信用は失われません。
ところが「ハードカレンシーを持たない国」、ローカルカレンシーの国は自国通貨で決済できないため、どうしても外貨に換える必要があります。国の信用が失われたらレートが自国通貨安に傾き、外貨が枯渇する可能性に備えなければなりません。
つまり、信用を失わないように債務をコントロールしないとならないのです。「そんなにたくさんの借金がある国と取り引きするのはイヤだ」となったらおしまいです。ですから、どうしても債務比率を抑える必要があるのです。
韓国は「ウォン」というローカルカレンシーの国ですから、ハードカレンシーを持つ国と同じくらい債務比率が高くなっても大丈夫だろうと考えるのは、そもそも根本で間違っているのです。
カエルが息を吸い込み過ぎて破裂してしまうお話がありますが、まさにアレです。
(吉田ハンチング@dcp)