【半導体戦争】中国半導体企業「米国に白旗」!「半導体製造は日本と合衆国の機器に依存している」から

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『長江存儲科技有限責任公司』(長江メモリー・テクロノロジー:Yangtze Memory Technology:略称YMTC)は、中国では最大手に属する半導体製造メーカーです。

この『YMTC』が「自社の半導体製造ラインからネジ1本に至るまで非アメリカ合衆国製品に入れ換えようとしている」という報道が出ました。

報道したのは『日本経済新聞』の英語版『NIKKEI ASIA』です。同紙の該当記事は以下のように書いています。

(前略)
So far, Yangtze Memory, also known as YMTC, has remained under the radar of the U.S. government. But the company is taking no chances. With the guidance of Beijing, it has launched a massive review of its supply chain in an effort to find local suppliers — or, at least, non-U.S. ones — to replace the current dependence on American technology.

『Yangtze Memory』社(通称『YMTC』)は、これまでアメリカ合衆国政府の監視下に置かれていました。しかし、同社にはチャンスがない。

北京の指導の下、同社はサプライチェーンの大規模な見直しに着手し、現在の合衆国技術への依存に代わる地元のサプライヤー、少なくとも合衆国以外のサプライヤーを探すことにした

The collective effort has occupied over 800 people, full time, and including staff from its multiple local suppliers, for two years. And they have not finished yet.

この総力戦には、現地の複数のサプライヤーのスタッフを含め、2年間で800人以上のスタッフがフルタイムで参加しており、それはまだ終わっていない。

YMTC is seeking to learn as much as it can about the origin of everything that goes into its products, from production equipment and chemicals to the tiny lenses, screws, nuts and bearings in chipmaking machinery and production lines, multiple sources familiar with the matter said. The audit extends not only to YMTC’s own production lines, but also to suppliers, suppliers’ suppliers, and so on.

『YMTC』は、生産設備や化学薬品からチップ製造機械や生産ラインに使われている小さなレンズ、ネジ、ナット、ベアリングに至るまで、製品に使われるすべてのものの原産地について、できるだけ多くの情報を得ようとしていると、複数の関係者が語っている。

この監査は、『YMTC』の自社の生産ラインだけでなく、サプライヤーやサプライヤーのサプライヤーなどにも及ぶ。
(後略)

⇒参照・引用元:『NIKKEI ASIA』「US-China tech war: Beijing’s secret chipmaking champions」

合衆国の制裁対象となっても半導体生産が継続できるように、『YMTC』は全ての必要な素材・部品・装備の原産地を調べ上げて、少なくとも非合衆国製品で代替できるように、サプライヤーチェーンの組み替えを行おうとしている――というのです。

もし、これが本当なら合衆国のくびきから逃れようとする動きであり、中国の動向を伝える『NIKKEI ASIA』のスクープです。

『YMTC』は「そんなことしていません」と白旗

しかし、『NIKKEI ASIA』の同記事はインパクトが大きすぎました。もし本当なら合衆国が見逃すはずはありません。ここで目立って現在の製造ラインに支障が出ると困ると考えたのでしょう。2021年05月10日、『YMTC』は以下のような声明を出しました。

近日,长江存储科技有限责任公司(以下简称“长江存储”)发现多家网络媒体援引不可靠信源,对长江存储供应链管理政策进行了肆意杜撰,发布不实报道。

最近、『长江存储科技有限责任公司』(以下、长江存储)のサプライチェーン・マネージメント・ポリシーについて、複数のインターネットメディアが信頼できない情報源を引用し、虚偽の報道を行っていることが判明しました。

对此,长江存储郑重声明如下:

これについて弊社は以下のように声明を出します。

1. 长江存储是一家全球化运作的商业公司,致力于融入全球半导体产业链,与世界优秀的企业共同成长,并始终遵循公平公正的供应链审核制度;

1.『长江存储』は、グローバルに事業を展開するビジネスカンパニーであり、世界の半導体産業チェーンに統合されており、世界のベストカンパニーと共に成長することを約束し、常に公正で公平なサプライチェーン監査システムに従っています。

2. 长江存储始终以提供高品质闪存解决方案产品满足全球客户需求为目标,不以任何非法律和非市场化竞争的因素排除特定区域的合作伙伴;

2.『长江存储』は、グローバルなお客さまのニーズを満たす、高品質のフラッシュメモリーソリューション製品を提供することを常に目指しており、法律に基づかない非市場的な競争要因によって特定の地域のパートナーを排除することはありません

3. 目前长江存储与各国合作伙伴均保持着友好互信的商业往来,合作共赢仍是我们共同的追求,也诚挚欢迎各国优秀企业与长江存储合作,继续支持长江存储发展,共同推动产业不断创新、不断进步。

3.『长江存储』は各国のパートナーと友好的で信頼できるビジネス関係を維持しており、Win-Winの協力関係を共通して追求しています。また、各国の優秀な企業が弊社と協力することを心から歓迎し、弊社の発展を継続的に支援し、業界の継続的な革新と進歩を共同で推進しています。

⇒参照・引用元:『YMTC』公式サイト「声明 2021-05-10」

つまり、報道にあるような合衆国製品を代替、排除するようなことは行っていないという表明で、要は白旗です。

ちなみに同社の副社長は、「半導体製造は日本と合衆国の機器に80%依存している」と発言したとして『大紀元』に報じられたことがあります(Money1でも以下の記事でご紹介しました)。

中国メモリー製造企業「合衆国・日本製機器に80%依存」「代替はきかない」と副社長が証言
アメリカ合衆国が「中国に半導体を渡さない」戦術を展開している中、『大紀元時報』に興味深い記事が出ました。中国のメモリー半導体製造企業『長江存儲科技有限責任公司』(長江メモリー・テクロノロジー:Yangtze Memory Technolog...

たとえ『YMTC』が本当に合衆国製の素材・部品・装備を非合衆国製品に入れ換えようとしているのが本当だとしても、「今、合衆国に目を付けられるのは困る」ということでしょう。こちらが相手にかみつけるようになるまでは、「キャン」と鳴いておこうというわけです。

(吉田ハンチング@dcp)

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