かつての発言「来年までは拡張予算でいく」の宣言どおりとなりました。
2021年10月25日、韓国国会で文在寅大統領は任期中最後の予算施政演説を行いました。
2022年の予算案がまとまりました。前年本予算比8.3%増加の604兆4,000億ウォン(約58.6兆円)です。
これにて国家債務1,000兆ウォン超え(約97兆円超え)が確定。また、国家債務の対GDP比率50%超えも確定です。
国格付け会社『Fitch(フィッチ)』にいわれた「GDP比国家負債比率が2023年に46%まで増加する場合、中期的な国家信用格付けに下方圧力として作用する」が現実のものとなります。
もちろんこれは予測されたことではあります。
今回ご注目いただきたいのは、文大統領が最後の予算施政演説で言ったことです。
以下に青瓦台・大統領府が公表した演説から注目ポイントを引用します。
(前略)
ウィンストン・チャーチルは、「楽観主義者は危機の中にチャンスを見て、悲観主義者は機会の中で危機を見る」としました。危機の中にチャンスを見る脳天気なのではないでしょうか
私たち国民はいつでも行動できる楽観と肯定の力で危機を乗り越え、危機に強い大韓民国の真の姿を遺憾なく見せてくれました。すっかり乗り越えた感じになっていませんか
北朝鮮の核危機は、平和の扉を開く反転のきっかけとしました。国連安全保障理事会が開催されるほどの安全保障危機と認識されています
3回の南北首脳会談と史上初の北米サミットを引き出して、平和の扉をノックしました。まだ対話は未完成です。対話と外交を通じて朝鮮半島に平和と繁栄のための新しい秩序が作られるように最後まで努力します。訪欧してローマ教皇を担ぎ出すつもりです
日本の輸出規制(原文ママ:筆者注)は、私たちの素材・部品・機器産業が自立する逆転の機会に変えました。輸出規制ではなく「輸出管理の強化」です
国民が応援して、政府と企業、大企業と中小企業が双方の手を取って対応しました。その結果、100大コアアイテムの対日依存度を減らし、輸入先の多様化などのサプライチェーンを安定させつつ、日本を超えて世界へ、素材・部品・機器強国の道に進んでいます。
迂回輸入をサプライチェーンの多様化とはいいません
世界的なコロナ危機の中で、K-防疫は国際標準となり、大韓民国が防疫模範国家として国際的地位を高める契機となりました。果たして国際標準などになったでしょうか
(中略)
消費と投資にも活力を取り戻しており、最も回復が遅い雇用も先月、危機以前の水準の99.8%まで回復しました。若い世代の雇用は失われており60代以上の雇用ばかり増やしました
(中略)
労働時間の短縮と最低賃金引き上げも着実に推進しました。所得主導成長は1年目から失敗したビジョンでした
その結果、年間労働時間が2016年2,052時間で、昨年は1,952時間と大きく減り、低賃金労働者の割合は、5年ぶりに23.5%から16%へと大幅に減少しました。その結果、雇用の多くが失われました
特に、国民の医療費負担を大幅に削減しました。国の負担が増加して健康保険基金が枯渇する予測が出ています
(中略)
世界で10番目に月探査プロジェクト「アルテミス計画」に登録し、独自の技術で開発した宇宙発射体「ヌリ号」の打ち上げに成功し、自らのロケットで1トン以上の物体を宇宙に送ることができる第7番目の国となりました。まだ送っていません
(中略)
政府はK-半導体、K-バッテリー、K-バイオ、K-水素、K-造船など主要産業別支援戦略に強く裏付けます。Kばっかりです
企業も大規模な投資をしながら業界「K-同盟」を構築し、これまで以上に強固に協力しています。同盟というか企業にお金を出しなさいという話に過ぎません
(中略)
また、2030年の温室効果ガス削減にも参加して、2018年比で従来26.3%から40%へと上方修正しました。勝手に実現不可能な目標とシナリオを立てられてみんな迷惑しています
(中略)
政府は「完全な回復と国家の未来」のために、来年度予算を604兆4,000億ウォン規模に拡大編成しました。今年の予算と補正を考慮して拡張的基調を維持しました。政府負債の解決は次期政権に丸投げです
(後略)
⇒参照・引用元:『韓国 大統領府』公式サイト「2022年度予算案施政演説」
文政権はすごい政権だったと後の世に評価されるかもしれませんね。
(吉田ハンチング@dcp)